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2018.01.22

【特集】“2017年世界ベストマッチ”で開眼! 最高の舞台を目指した闘いがスタート…男子フリースタイル92kg級・石黒峻士(日大)

石黒峻士(日大)

 1980年代の中盤頃からしばらくの間、「学生は弱い」と呼ばれた時代があった。それも、「今は昔」のこと。キッズレスリングの発展や一貫強化体制の確立により、在学中に全日本王者に輝く選手は珍しくなくなった。昨年12月の全日本選手権・男子フリースタイルでは、10階級中5階級で学生選手の王者が誕生した。

 その中の最年少が92kg級を制した石黒峻士(日大2年)。階級区分変更によってできた新たな階級の恩恵? 決してそんなことはない。1ヶ月半前の全日本大学選手権(97kg級)では、学生97kg級の第一人者の園田平(拓大)を破っており、97kg級に出ても優勝争いに加わったかもしれないほど実力をアップさせている。

 今年末か来年にはオリンピック階級に移るものと思われるが、今年は92kg級の歴史の1ページ目に確固たる実績を刻んでほしい。

3度の国際大会を経験し、充実していた2017年

 石黒は大学の授業のため、今月11~15日に山梨学院大で行なわれた全日本合宿には不参加で、18日から東京で始まった全日本合宿も20日が初参加だった。練習前後の整列で最前列に並ぶのもこの日が初めて。そのこともあって、「まだチャンピオンの実感はないんですよ」と笑う。しかし、「一番前に並ぶことになれば自覚が出てくるかもしれませんね」と話し、徐々に王者の誇りと自信が出てくるのではないか。

劣勢だった全日本選手権決勝で逆転勝ち、雄叫びをあげる石黒=撮影・矢吹建夫

 全日本選手権は2人のベテラン選手を破っての優勝だった。初戦は福井裕士(自衛隊)。埼玉・花咲徳栄高時代、同じ埼玉にある自衛隊の練習に参加させてもらって挑んだ時に「ボコボコにやられていた」という相手だ。6-6の内容差による勝利だったとはいえ、壁を乗り越えたことは「自信になった」。

 決勝の鈴木聖二(岐阜・岐阜工高職)戦は追いかける展開となり、ラスト数秒にタックルを決めての劇的な逆転勝利。「けっこう冷静でしたね。最後、相手の腰が浮いていたことがはっきり分かりました」-。

 中学王者を経て高校時代にインターハイ2連覇など下地は十分にあった。日大に進んだ2016年にもJOC杯96kg級を制し、世界ジュニア選手権8位など実力を開花させていったが、飛躍の大きな原動力となったのは2017年だろう。8月の世界ジュニア選手権(フィンランド)に続き、9月にアジア・インドア&マーシャルアーツ大会(トルクメニスタン)、11月にはクナエフ国際大会(カザフスタン)とシニアの国際大会を続けざまに経験した。

大きな転機となったサデュラエフ(青)とスナイダーの世界一決定戦

 シニアの大会は「ジュニアの選手と体格も違い、最初は一歩引いてしまいました」とのことだが、カザフスタンでは合宿練習にも参加。数多くの練習を経験したことで、「実力がアップできたのかな、と思います」と言う。

 もっとも、2017年に飛躍することになった一番の出来事は、ターゲット選手の海外合宿として8月のパリ世界選手権を訪れたことだったのではないか。97kg級の決勝は、リオデジャネイロ・オリンピック86kg級王者のアブデュラシド・サデュラエフ(ロシア)と97kg級王者のカイル・スナイダー(米国)との一戦。レスリングのファン・関係者のだれもが「最高の試合だった」と賞賛した世界トップ同士の激戦は、石黒の心をも動かした。

 「レスリングって、こんなに感動を与えられるものなんですね」。こんな選手になりたい-。こんな舞台でこんな試合をやりたい-。モチベーションの高揚は、実力アップに欠かせない要素。帰国直後に出場した全日本学生選手権で学生初のタイトルを獲得し、全日本大学選手権で園田を破る殊勲をあげるなど急成長したきっかけのひとつが、パリでの経験だったことは言うまでもない。

今年の目標はロシアの天才選手と闘うこと!

 2018年の世界への挑戦は、今月24日からのイラン遠征でスタートする。そのあとは、2月末のアジア選手権(キルギス)、4月のワールドカップ(米国)と続くことが予想され、今年も国際大会を数多く経験できそうだ。イランでは、大会出場はなく練習のみ。昨年のカザフスタン遠征で地元選手との練習で実力をアップできたたけに、まずこの遠征によってベースを作りたい。

1月20日、全日本王者として全日本合宿に初参加した

 その後は大会出場が続く。昨年出場したシニアの2大会では「緊張したり、びびったりした」というから、経験を積むことで精神面の課題を克服し、心身とも世界で通用する実力を養成することが望まれる。

 今年の92kg級はサデュラエフが照準を合わせてきた階級。4月のワールドカップに出場してくれば、そこで対戦が実現するかもしれない。世界選手権には間違いなく出てくるだろう。「闘ってみたい」-。昨年夏、目に焼きつけた世界最高の試合を目標に、石黒が世界に飛躍する。







2023年世界選手権/激戦の跡
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