日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2018.04.02

【2018年全国高校選抜大会・特集】全国屈指の進学校から5位入賞! 学業とも闘いながら上位入賞を目指す…66kg級・松井滉季(神奈川・慶應)


(文・撮影=樋口郁夫)

進学校の選手として5位に入賞した松井滉季

 文武両道を貫く学校のひとつに、慶大、そして慶應高校(神奈川)がある。“兄貴分”の慶大は一昨年、東日本学生リーグ戦の一部リーグに昇格。昨年度のリーグ戦は最下位ながら入れ替え戦でとどまり、2018年度も一部リーグで闘うが、それに呼応するかのように“弟分”の慶應高校の選手も奮戦した。

 全国高校選抜大会の個人戦66kg級で、関東予選5位だった松井滉季が3試合を勝ち抜いて準々決勝まで進出。そこで敗れてしまったが、全国でも5位(ベスト8)の成績を残し、夏へ向けてのステップをつくった。

 松井は「3位には届かないだろう、ということは、日頃の練習内容からして分かっていました。今の実力通りでしょう。やってきたことをぶつけられたことには満足していますが、もっと練習して表彰台に昇りたいと思います」と、満足な部分とまだできるという気持ちが半々といった気持ちを話した。

 レスリングはPUREBRED大宮で始め、ゴールドキッズを経てBRAVEで続けた。キッズの2つの全国大会(全国少年少女選抜選手権、全国少年少女選手権)での優勝経験を持ち、その後も2015年全国中学選抜選手権66kg級で準優勝。強豪高へ行ってレスリング選手として磨きをかけることも考えたが、「進学校へ行って勉強もしたい」として慶應を受験し、合格してレスリングを続けた。

2015年全国中学生選抜選手権66kg級の決勝で闘う松井。相手は現日体大柏の山田脩(愛知・ゼントータル)=撮影・矢吹建夫

 慶應高校入学に必要な偏差値は「75」とも言われ(東大進学数1位の兵庫・灘が「79」=いずれも2018年)、受験の難関校ということもあってスポーツにたけた生徒は多くない。現在のレスリング部員は自身と後輩の2人だけ。慶大の練習に加わることも多いが、慶大とて初心者が半数以上というチーム。さらに高校1年の6月、ひじの靱帯を断裂する大けがを負い、約1年間、試合に出られない試練に直面した。

 復帰した後は、時に古巣のBRAVEへ通って宮田和幸代表(2000年シドニー・オリンピック代表)の指導の下、独自の練習もやっているが、練習の質も量も全国で勝つだけのものとは言い難い。昨年は県予選を勝ってインターハイと国体に出場したが、上位入賞はならなかった。

 この大会のベスト8はステップとなりうる成績。練習環境に恵まれない中でも、「やる以上は、常に表彰台を目指しているし、優勝が目標。やり切った、と思える練習をして表彰台につなげたい」と、インターハイと国体での好成績を目指すという。

多くの先輩が同じ道を通り、社会で活躍している

 慶應高校の長谷川充監督は「指導者は一般企業に勤めているので、平日は不在がち。越谷(埼玉県)から片道2時間の遠距離通学に加え、求められる学力水準など、厳しい環境に負けず、全国ベスト8までこぎつけたことに敬意を表したい」と、その努力を褒めたたえた(注=慶應は創始者福沢諭吉の教えにより、全ての塾生に対して「独立した個人」として「自分で考え自分で行動する」自主独立の精神を求めているという。それがゆえに、監督が選手に対して「敬意を表したい」という表現をしたのであろう)。

一般企業の社員として多忙な中、新潟まで駆けつけた長谷川充監督(右)

 部員が少なく、必ずしも良好な練習環境ではないが、同監督は「文武両道が学校の方針であり、勉強とレスリングに一生懸命に励んでいる。幾多の先達、先輩達が同じ道を通り、社会で活躍しているのを見ているので、本人はきつくても『負けてはいられない』という気持ちでいると思います。引き続き意識と視点を高く持ち続け、一人のレスラーとして、社会に通用する自主独立した人間に成長してほしいと願っています」と、レスリング選手としてのみならず、人間としての成長を期待した。

 松井は慶大に進み、そこでもレスリングを続ける予定。レスリングのみならず慶大体育会の卒業生は、その多くが各界の主要企業に就職している。大手企業の経営トップに名を連ねるOBもいて、社会の最前線においてレスリングOBとしての気概とプライドを持ち、活躍している。

 レスリング選手として世界で活躍し、日本に金メダルをもたらすこととは別の角度から、社会で得たものを古巣に還元してくれる人の存在もレスリングの発展に必要な要素。在籍したスポーツ界への大きな貢献と言える。

 松井には、マットで汗を流しつつ社会人としての大成を目指す選手の見本となる活躍が期待される。







サイト内検索

JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。
《送信先》 jwf-homepage@memoad.jp


フェアプレイで日本を元気に