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2018.04.13

【特集】隠岐の島の全国王者・中村勇士(島根・隠岐島前高)がJOC杯でジュニアに挑戦


(文・撮影=増渕由気子)

全国高校選抜大会で優勝した中村勇士(島根・隠岐島前高)、JOC杯ジュニアへ挑む!

 2020年東京オリンピックとその後を目指す若手が躍動するJOCジュニアオリンピックカップが目の前に迫っている。ジュニアの部は大学選手と一部の強豪高校選手とが交わるが、昨年はベスト4に入った32選手のうち11選手が高校生が占め、高校生のレベルアップが話題となった。

 今年も名勝負が見られそうだ。その中で注目したいのは、男子フリースタイル61kg級に出場する中村勇士(島根・隠岐島前高)。先月末の全国高校選抜大会(新潟市)の60kg級で島根県勢として初のチャンピオンとなり、高校王者として大会に臨む。

 全国高校選抜大会の決勝では、決勝戦で飯田翔真(東京・自由ヶ丘学園)を10−8で下して初優勝を遂げた。中村は6−0とリードを奪うも、後半に6−6に追いつかれてしまった。しかし残り20秒、アンクルピックで逆転。その処理がもつれたため、相手陣営からチャレンジが入るも、中村のリードは変わらず、2点差のリードで勝利をもぎ取った。

 中村は「やっと勝てました。全中(全国中学生選手権)で優勝していたので、高校でも勝たなければという使命感がありました。そのプレッシャーに負けて自分のプレーができなかったりしたこともあったので、今回は変なプライドを捨てて、どん欲に勝ちたいという気持ちで勝負した。それがよかった」と、中学に続く高校での全国制覇を振り返った。

島根県レスリングの虎の穴、隠岐の島

 「島根県勢初の快挙です」。中村を指導する河内龍馬監督の喜びもとひとしおだった。隠岐の島は本土から船で約3時間、高速船でも1時間半かかる。河内監督、中村ともに島生まれの島育ち。もともと隠岐島前にはレスリング文化が根づいており、河内監督は強くなりたい一心で、浪人してまで日体大に進学。2008年北京オリンピックで銀メダルを獲得した松永共広(現神奈川大コーチ)と同期で、卒業後は教員となって地元にUターン。今に至っている。

セコンドとして中村を支えた河内龍馬監督

 同校に赴任して5年。中村が中学チャンピオンになった時のことは鮮明に覚えている。全国を制したものの、そのあとからプレッシャーに負けて勝てない日々が続いたからだ。「勝たないといけない気持が強すぎたのでしょうか」。隠岐島前高にはレスリング専用道場のほか、サウナまである。海山に囲まれて自然のトレーニング施設には困らない。中村は父親もレスラーで、家族ぐるみで動画研究など新技獲得に余念がない。

 なのに、全中で優勝した後、中村は主要大会で表彰台からも遠ざかった。努力してるのに勝てないジレンマに苦しむ中村を見て、河内監督はチームの主将を任命した。「地位が人を育てることもあります。中村はこれまで自分のことしか考えていなかった。キャプテンになってから視野が広くなり、チーム全体が見られるようになり、いろいろな面で成長したと思います」。

平昌冬季オリンピックに触発された

2015年全国中学生選手権53kg級で優勝した中村=撮影・矢吹建夫

 キャプテン効果はてきめんで、中村はちょっとのアクシデントで動じることもなくなった。「実は足首のかかとにヒビが入り、1ヶ月走り込めない状態だった」と吐露したが、くじけそうになった心を支えたのは、憧れのオリンピックの存在。2月には平昌冬季オリンピックが開催され、日本勢はメダルラッシュに湧いた。

 フィギュアスケートで金メダルに輝いた羽生結弦選手は、けがを乗り越えての連覇で話題をさらった。「気持が強い選手が勝っていた。自分もそうなりたいと思っていた」。金メダリストと同様にけがを乗り越えて快挙を達成した。

 高校選抜大会、JOC杯、そしてインターハイとタイトル総なめにできるか−。隠岐の島っ子レスラー、中村勇士の今シーズンは、始まったばかりだ。







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