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2018.06.09

【特集】オリンピック王者と毎日練習! 脱皮した保坂健(自衛隊=男子フリースタイル74kg級)が世界を目指す!


(文・撮影=保高幸子)

保坂健

 昨年の世界選手権(フランス)で「金1、銅1」を獲得し、今年4月のワールドカップ(米国)で33年ぶりにメダルを獲得した男子フリースタイル。軽量級だけではなく中重量級も世界で勝負できることを証明し、全体のレベルが上がっている。

 昨年12月の全日本選手権74kg級で優勝したのは世界選手権70kg級で銅メダルを獲得した藤波勇飛(山梨学院大)。その決勝の相手、保坂健(自衛隊)も力をつけてきた。

 保坂は、レスリングの選手だった父親に連れられ、小学生からレスリングを始めた。全国中学生選手権は3位が最高。「全国で1番になりたい」とレスリングを続けることにし、埼玉栄高校、早大、自衛隊と進んで、現在25歳。

「自分に甘かった」と昨年までを反省

 「オリンピックを意識し始めたのは高校生の時」。高校が埼玉だったことで自衛隊に出げいこすることも多かった。そこは現役時代の井上謙二(現自衛隊監督)ら、オリンピック・メダリストたちが練習する憧れの場所だった。

初めて全日本選手権の決勝のマットに上がった昨年12月

 その後、高校と大学の大会で優勝は達成したものの、全日本選手権では準決勝の壁に阻まれた。自衛隊の井上謙二監督は「身体能力はピカイチ。ばねも足腰の強さもある」と話すが、それだけでトップになれるほど甘い世界ではないということだろう。

 保坂は「オフは、体のケアよりも遊ぶことを優先させていた。自分に甘かったんです」と自己分析。練習も「本気になり切れていなかった」と照れ笑い。井上監督も「学生時代はずば抜けた身体能力でやれていたと思うが、全日本ではそれだけでは勝てない」と言う。一方で「最近はよくなってきました。オリンピックが近づいてきて、練習は自分の任務であるという意識も出てきたのだと思う」と最近の変化を評価する。

 全日本レベルの大会で決勝に進んだのは昨年の全日本選手権が初めて。藤波とは初顔合わせだった。「練習でもほとんど手を合わせたことがなかった」そうで、緊張したという。「藤波選手が強いことは分かっていた。試合前から気持ちで負けていた」。結果はフォール負け。しかし、試合を見た関係者からは「保坂は強くなった」という声が漏れ聞こえてきた。何があったのだろう?

米満達弘コーチの真摯な姿勢に感化され、気持ちが向上

 躍進のきっかけになったのは、昨年の国体での敗戦。準決勝で木下貴輪(クリナップ=当時山梨学院大)に敗れ、自分に甘い部分をなくそうと心を決めた。

米満達弘コーチ(右)と練習する保坂健

 その方向性を示したのが、やはり「自衛隊のメダリスト」。2012年ロンドン・オリンピック金メダリストの米満達弘コーチだ。保坂とは5歳差で、現役時代は当時の保坂と同じ66kg級だった。「10kg減量していた時の米満さんと練習したことがありましたが、きつい減量の最中なのに、それでも絶対に点を取らせないんです」と思い出を語る。

 米満コーチが米国・ペンシルベニア州立大学での2年間のコーチ留学を終え、自衛隊に帰ってきたのが昨年8月。「今も、コーチなのに選手より練習しているんですよ! スパーリングも真剣で、簡単には取らせない。いつでもガチでやってくる。これがオリンピックで金メダルを獲る人の練習なんだと、姿勢から改めて学びました」-。

 ずっと持ち続けていた「このままではいけない」という思いから脱却した。練習への姿勢とケアへの意識も。「常にベストを尽くすことを心がけています」。ロールモデルを追いかけることで、保坂は“真のレスラー”になったといえる。

「勝ちにこだわる」姿勢で日本代表を目指す

 「天皇杯で『変わったな!』と言われたり、練習を見てくださっているコーチから言われたりしますね。自分では強くなったという感じはしてないんですが…」と、自身で納得するまでには至らないようだが、ばててくると「1点くらいいいや」という気持ちがあった学生時代から変わったのは確か。今の「勝ちにこだわる」姿勢はレスリングに最も必要なものではないだろうか。

自衛隊で練習する保坂

 世界選手権、そしてオリンピックへ向けては、全日本レベルでの優勝が最初のステップ。現在、王座にいるのは世界のメダリスト。「藤波選手が世界で通用するのだから、それに勝てば僕も通用するということ」と考える。環境は全て整っている。

 「藤波選手だけでなく、みんな強い。でも僕も勝ちたい。勝てるように頑張ります。攻めて自分のレスリングをしたい。スロースターターですが、選抜では最初から動いていきたい」。世界に羽ばたいた藤波が注目されがちな中量級だが、「日本には保坂もいる」と証明できるか。切磋琢磨の74kg級の闘いから目が離せない。







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