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2018.08.31

【2018年アジア大会・特集(4)】“日本人キラー”に、オリンピック女王の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)も敵わず銅メダル

(文=増渕由気子)

3年ぶりに黒星を味わった川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)、この黒星をどう生かすか?=撮影・布施鋼治

 「『たぶん勝てるだろう』というつもりで来たら、勝てないことがよくわかりました」-。日本協会の西口茂樹強化本部長のジャカルタ・アジア大会の総括を聞いていて、真っ先に思い出してしまったのが女子62kg級でまさかの銅メダルに終わった川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)の顔だった。

 2年前のリオデジャネイロ・オリンピックでは58kg級から63kg級にシフトチェンジし、体重差を感じさせない強さを見せ、初出場ながら見事に金メダルを獲得。オリンピック4連覇の伊調馨(ALSOK)や世界大会16連覇の吉田沙保里(当時フリー)らに代わる日本女子の看板選手として期待値はうなぎのぼり。今大会の金メダル候補の一番手として誰もが疑わなかった。

 しかしながら、準決勝でまさかの敗退。3位決定戦には勝ったが、金メダルが待望されていたからこそ本人のショックは大きかった。川井は、「まだまだ沙保里さんみたいに本当に強い選手になれていませんでした」と泣きじゃくりながら反省を口にした。

 約3年間無敗の川井を破ったのは、2016年にあの伊調の連勝記録を止めたモンゴルのエース、オーコン・プレブドルジ。昨年は世界選手権63kg級で優勝しており、シニアになってからは日本人が誰も勝てていないという難攻不落の女王だ。要するに、今大会62kg級の準決勝は、昨年の世界選手権60kg級と63kg級のチャンピオン同士の対決だった。

「この負けが生きるも死ぬも自分次第」

 59kg級で10月の世界選手権(ハンガリー)出場を控える川井は、62kg級には届かない体重で闘っていたが、立ち上がりは体重差を感じさせない互角の闘いを見せ、前半にはバックポイントで2点を先制。「やはり川井は強かった」と安心しかけたその時だった。

本来の階級は違う両者だが、川井(右)にとって巨大なライバルとなった=撮影・保高幸子

 プレブドルジがアンクルピックで川井の足を持ち上げると、川井はこらえきれずに尻もち。すさかず62kgの全体重を預けるかのようにプレブドルジが川井を抑え込み、レフェリーがフォールを示すためのマットを叩いた。

 組み手が男子並み-。川井の強さを表現する時に多用してきた言葉のひとつだ。スピードもあるし力もある川井が、組み手の強化に重点を置いていることに、笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)は、少しだけ心配していた。「組み手重視で練習を積んできたけど、タックルに入れるだろうというところで入っていない。川井選手には過去の自分の映像を見て確認するように伝えた」と、タックルで攻めまくっていた頃とスタイルが変わったことを指摘した。

 一方、川井は「負けたのは実力」と完敗を認めた。攻撃の幅を広げていきたいと目標を掲げてきたが「それができなかったので、こうなった(負けた)」と、自分の思い通りに試合が進まなかったと悔しそうに振り返った。「この負けが生きるも死ぬも自分次第。銅メダルが無駄にならないようにしたい。このメダルはしっかりと見えるところに置いておこうと思う」。

 10月の世界選手権でこの悔しさを晴らせるか-。







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