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2018.09.08

【2018年全日本学生選手権・特集】中大に36年ぶりの優勝をもたらした尾形颯(男子フリースタイル74k級)、急成長の理由は?

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

中大から36年ぶりの優勝を達成した尾形颯(中央)と山本美仁監督(右)、李正根コーチ

 全日本学生選手権の大会期間中、一際大きな声援を集めながら優勝した選手がいる。男子フリースタイル74㎏級を制し、中大に36年ぶりのインカレ優勝をもたらした尾形颯だ。気迫を全面に出した試合運びは出場選手の中でも突出していたのではないか。

 決勝の2日後に話を聞くと、尾形は「まだ実感が沸かない」と打ち明けた。「もともと僕は優勝できるような選手ではないと思っています。(組み合わせが決まった時点で)勝ち進めば、準決勝で去年の全日本選手権3位の吉田隆起選手(拓大)と当たることが分かった。今年の全日本選手権に向けて、自分の力がどれくらいあるのかを試す感じで挑みました」

 大会全体を振り返っても、吉田との準決勝が最も印象に残る一戦だったという。「監督やコーチからの指示で、相手のカウンターに注意しながら、組み手で先手を取り、攻撃していくことができたから勝てたと思います」

優勝を決め、ガッツポーズの尾形

 コーチとは、ちょうど1年前、中大にやって来た韓国の李正根氏を指す。李正根コーチはフリースタイル62kg級で1984年ロサンゼルス・オリンピック銅メダル、1986年アジア大会フリースタイル62kg級優勝の実績を持つ。

 李正根コーチは尾形の動きを一目見て、「身体は柔らかいし、しなやかなレスリングをしている」と高評価。「1年で絶対にチャンピオンにする」と宣言した。尾形の課題でもあったパワー不足を払拭させるために、積極的にウエートトレーニングをやるように命じた。

 尾形はそのおかげで、今大会ではパワー負けしなかったと振り返る。「技もかかるようになってきました」

山本美仁監督&李正根コーチの“タッグチーム”で強化

 中大の山本美仁監督は現役時代に韓国留学した際、李正根氏から直接指導を受け、子弟の絆を結んだ。そのことが縁で、かつての師を大学に招聘した。6年間現地に滞在していたことで韓国語が堪能な山本監督は、中大の選手と李正根コーチのやりとりをスムーズにするよう仲介役を買って出た。

決勝で日体大の阿部侑太と闘う尾形(赤)。攻め込まれるピンチを乗り越えて栄冠を勝ち取った

 「正直、李正根先生も最初は言葉の壁に悩みました。どうしても伝わり切らないところがある。でも、僕はずっと李正根先生に習ってきたので、細かいニュアンスも分かる。その一方で、選手の立場も分かるので、韓国人には伝わらない質問をフォローするように努めています」

 李正根コーチは「尾形にはまだ伸びしろがある」と言う。インカレ優勝では満足しておらず、本番は「12月の全日本選手権」と語気を強めた。「インカレは通過点。吉田戦の前も、私は『やってきたことを試してきなさい』と肩をたたいて送り出しました」

 尾形を語るうえで、山本監督や李正根コーチとともに欠かせないキーパーソンがいる。シンガポールで銀行員として勤務し、JOC杯やインカレの度に一時帰国して審判員を務める父・博さんだ。

 父について聞くと、尾形は「最高の親孝行ができたのではないか」と白い歯を見せた。「(埼玉・埼玉栄高時代の)インターハイで団体優勝したけど、個人戦で優勝したのは今回が初めて。優勝した日の夜には一緒に食事をした。父は『おめでとう』と言いながら、だいぶ酒を飲んでいました」

 周囲を笑顔にさせながら、尾形の挑戦は続く。







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