日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2018.10.01

【特集・下】母国への誇りと愛情を胸に、日本とイランの交流に尽力するジャボ・エスファンジャーニさん(市川コシティ・クラブ)


《上》《中》

6人の子供に恵まれ、全員レスリングに携わっているジャボさん一家=ジャボさん提供

 イランは、かつてはフリースタイルの強豪国であり、グレコローマンはむしろ“弱小国”の部類に入っていた。1990年代から急速に力をつけ、2012年ロンドン・オリンピックでは3階級で優勝と、世界に名だたるグレコローマン王国になった。

 そのあたりの経緯は? 「私の時代はフリースタイルがほとんどでした」。変わったのは、1983年世界選手権(ソ連・キエフ=現ウクライナ)のグレコローマン68kg級でモハマド・バンナが銀メダルを取ったこと。この選手が外国のグレコローマンを研究してから上昇したという。

 「それまでにもグレコローマンをやった選手はいましたけど、本気になって取り組んだのはバンナさんが初めてだったと思います。ヨーロッパに行って練習し、学んでいました」。元来、レスリングが好きな人間の多い国民だけに、グレコローマンでも世界で勝てると分かれば、取り組む選手は自然に増えていく。

女性のレスリング観戦が実現、この動きが加速するか

アジア・スクールボーイ選手権で女子の観戦が解禁、観客席から試合を見つめるイラン女性=ジャボさん提供

 相撲や柔道の土壌があった日本に、「八田一朗」という人間がレスリングの種をまき、必死に育てて栄光を築いた。そのベースに、「福田富昭」という人間が新たな種をまき、日本の女子レスリングは世界一になった。同様のことがイランでも起こっていたということだろう。

 女子と言えば、レスリングは、宗教上の理由で女性の観戦が禁止されてきた。それも変わってきており、今回のアジア・スクールボーイ選手権では、カラジのレスリング協会の英断によって女性の観戦が認められたという。「私の母や姉、妹も会場に来ました。(恩師の)ヤリ氏を助けてきて、理事長になった人の決断です。『勇気ある行動ですね』と伝えました」。

 ジャボさんの予想では、この動きはどんどん広まり、シニアのアジア選手権がイランで行われることがあれば(注=現在は男子両スタイルと女子の3スタイル同時開催が原則のため、イランでは実施できない)、「女性の観戦もできるようになると思います」と言う。

女性のレスリング進出が進むイラン=イラン協会ツイッターより

 ただ、女性がオリンピック・スタイルのレスリングをやるようになるのは、「イスラム教である限り、難しいと思います」と残念そう。イスラム圏の女性のため、着衣を着て闘うクラシック・スタイルと呼ばれるレスリングが誕生したが、「暑くて厳しい、という声を聞きます」と、世界的に普及できるかは懐疑的だ。

 来年は、日本とイランの間に外交関係が樹立されてから90周年にあたるという。記念の年に各種交流事業を実施し,両国間の関係をさらに発展させるイベントがいくつも企画されている。レスリングでも、日本とイランの対抗戦を実施するなどの交流をしよう、という話もあるという。

 コミュニケーションほかの面でジャボさんの出番となろう。「イランは、昔から日本に対して感謝の気持ちや尊敬の気持ちを持っています。文化や習慣も似ています。レスリングでは、イランも日本も意識的な反則などはやらないし、審判も不当な圧力には屈しないことで有名です」と話し、アジアの友好国として、ともに発展していくことを願っている。

2020年東京オリンピックではイラン応援団をエスコート

 大学へ進んだ2人の息子は、ともに日本国籍(注=22歳までにどちらかの国籍を選ぶ)。次男のケイワン選手は今年のアジア・ジュニア選手権(インド)に出場し、1回戦でイラン選手と闘った。この時は負けてしまったが、息子、あるいは教え子とイラン選手が闘うことは、今後もあるケースだろう。

イラン仕込みのテクニックを教えるジャボさん

 「イランの血が流れている2人の選手が、ともに表彰台に上がることがあれば、誇らしいことですね。世界選手権やオリンピックの決勝で、教え子とイラン選手とが闘い、2人が表彰台に登ってほしいです」。イラン人の誇りと母国への愛情は今でも忘れていない。世界のスーパースター、ハッサン・ヤズダニ・チャラティ(リオデジャネイロ&昨年の世界選手権の王者)の話に及ぶと、これ以上はないという笑顔で話す仕種に、それが表れていた。

 2020年東京オリンピックの時は、イランからも多くの人が応援で来日することが予想される。「お世話することになるでしょう」と今から楽しみな様子。会場の幕張メッセまでは、高速道路を使えば1時間はかからないので、泊まるところが不足すれば道場を宿泊所とすることも考えている。

 イランへの愛を忘れることなく、日の丸を揚げることを夢見るジャボさん。日本とイランの貴重な架け橋としての活躍も期待される。

《市川コシティ・フェイスブック》

自前の道場を持つ数少ないクラブ。道路に面した大きな看板=ジャボさん提供

壁にはイラン選手との交流のパネル写真。イランへの愛情は深い







サイト内検索

JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。
《送信先》 jwf-homepage@memoad.jp


フェアプレイで日本を元気に