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2018.10.19

【特集】2018年世界選手権へかける(30)完…女子59kg級・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

《JWFデータベース》《UWWデータベース》《国際大会成績》
《勝者の素顔=JWFフェイスブックインスタグラム

アジア大会女子62kg級優勝選手は、これまで「オーコン・プレブドルジ」と表記してきましたが、「オルホン・プレブドルジ」とします。

(文・撮影=保高幸子)

川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

 2016年リオデジャネイロ・オリンピック63kg級金メダリストで、昨年の60kg級世界チャンピオンの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は、今年の世界選手権は59kg級で出場する。

 辛い夏だった。ほぼ確実に優勝すると思われていたアジア大会(8月=インドネシア・ジャカルタ)で、2016年に伊調馨(ALSOK)に黒星をつけたモンゴルのオルホン・プレブドルジに不覚。準決勝で敗れ、ぼう然とマットを降りた。川井は静かに退場口へ向かい、人目がなくなった退場口裏で大声でしばらく泣きじゃくっていた。

 「金メダルを期待されていた。取らなきゃいけないと思っていた。初めて自分以外の人に申し訳ないと思いました」と、当時の心境を語る。その後、3位決定戦に勝って銅メダルを獲得した(9月にプレプドルジのドーピング違反が発覚し、銀メダルに繰り上げが見込まれている)。

筋力トレーニングに取り組み、新たな発見があった

 オリンピックと世界選手権の両方でトップに上り詰めたことで、考えることが多くなった。長年練習拠点としてきた至学館大では、いつも仲間と一緒。「あえて、一人になってみようと思った。どんなにみんな強くても、どんなにきつくても、毎日同じではなく少し刺激を入れたかった。何かを変えなければと」-。

アジア大会準決勝、ポイントは2-2だが、川井の敗戦で試合は終わった

 昨年は菅平で行われた男子フリースタイルの全日本合宿に参加した。学生だったため、頻繁には名古屋を離れられなかった。「今年から社会人になり、授業での時間の制約がなくなったので、今後いろんな大学に練習に行ってみたいという気持ちがあります」と話す。

 フィジカルの面でも、より広い視野を手に入れた。女子選手はこれまで本格的な筋力トレーニングはあまりしてこなかったが、西口茂樹強化本部長の方針で、今年半ばから取り入れるようになった。何度か単独で上京し、国立スポーツ科学センター(JISS)でトレーナーの指導の下、体の使い方や筋力トレーニングをし、栄養士の指導も受けている。

 わかったのは、肩周りが固く、肩甲骨の動かし方といった基本的なこともできていなかったこと。「背筋を生かしていなかったようで、ほとんど腕の力だけでやっていると言われました。もっと体を上手く使えば瞬発力がでる」と言い、今は体の使い方やケアの仕方を学んで、レスリングへの興味もまた深くなり新鮮な気持ちだ。

 「9年間、体のことを何も分かっていなかった。これを続けることで、また変わっていけると思う」と新たな挑戦への意欲が高い。JISSでトレーニングする際は1~2週間滞在し、午前はJISS、午後は自衛隊でマット練習というように出げいこをしている。

世界選手権の初戦が勝負、怖さを乗り越える!

女子世界選手権代表メンバーを引っ張る川井(中央)

 「リオの前は沙保里さんや馨さんみたいには期待もされていなかったし、不安も何もなかった」とチャレンジャーとしての強さがあった。2015年の世界選手権の決勝で敗れても、「準決勝に勝ってオリンピックがほぼ決まっていたので、あまり悔しくなかった」と言う。「アジア大会は悔しかった」-。期待に応えられなかったという思いが強かった。

 アジア大会の3位決定戦はベトナムの選手だった。実力から言って川井の勝利は120%確実だったが、本人は「そうと分かっていても、怖かった」と振り返る。「世界選手権の初戦は、たぶん、また同じ気持ちになると思う。自分に負けないようにしたい」-。手ごわいのは自分の中の恐怖心の克服。

 今取り組んでいる自分改造の成果も少し見えてくると思われる今回の世界選手権。その自信がメンタル面にもいい形で影響し、最高の結果を呼び寄せてくれると信じる。「優勝したいです。悪い流れは早く切らなければ」-。女王・川井梨紗子は、復活以上にさらなる高みを目指している。







2023年世界選手権/激戦の跡
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