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2018.12.04

【特集】大学で“チャンピオン仲間”と再会! 4年の差を埋め、激突の日が来るか?…男子フリースタイル74kg級・有川将史(東大)

(文=樋口郁夫)

東日本学生選手権・秋季新人戦で優勝した有川将史(東大1年)

 東京・駒沢屋内球技場で行われた東日本学生秋季選手権の新人戦フリースタイルB74kg級は、東大1年生の有川将史が2試合にテクニカルフォール勝ちして優勝。「部員が少ない中、優勝できてホッとしています」と振り返った。東大選手の優勝は過去にもあった。しかし、有川の実績を聞くと、だれもが「え!」と驚くのではないか。

 大阪・エンジョイクラブの選手として、2005~10年に全国少年少女選手権6連覇、2013年に全国中学選抜選手権73kg級で優勝。その時の優勝仲間には、日本男子最年少の世界チャンピオンに輝いた乙黒拓斗(JOCエリートアカデミー=現山梨学院大)がいる。乙黒は、全国少年少女選手権は5連覇だったので、小学生時代の実績は乙黒を上回る。

 小学校卒業後は中高一貫学校の奈良・東大寺学園中学へ進み、本人の記憶では西日本中学生選手権の初戦で2歳上の藤波勇飛(三重・西朝明=現山梨学院大)と対戦。全国大会3連覇を目指していた強豪に完敗し、「強さが違う」と感じてレスリングを辞めたという。それでも3年生になると、エンジョイの東嗣朗監督から「もう一度挑戦してみないか」と勧められ、6月の全国中学生選手権に出場することになった。

2013年全国中学生選手権優勝選手。後列中央が有川、前列右から2人目が乙黒拓斗=撮影・保高幸子

 この時は準々決勝で三輪優翔(和歌山・和歌山東=現日体大)にフォール負け。練習を積んで11月の全国中学選抜選手権に再挑戦。決勝で全国2位の今村太陽(クリナップキッズ=現福岡大)をテクニカルフォールで下し、3年ぶりの全国一に輝いた。ブランクをものともしなかったのだから、レスリング・センスは卓越していると言えるだろう。

 だが、高校にレスリング部がなかったため、2度目のレスリング人生はこの1年間だけ。学校に部がなければ高体連主催の大会には出場できない。レスリングを断念し、柔道部へ入って体を鍛えた。東大寺学園高校は、東大、京大、国公立医学部などに進学する生徒がほとんど。全国有数の進学校で、周囲につられて難関大学を目指すようになり、クラブ活動より勉強に重点を置いた生活。柔道は「競技としてかなり違った」こともあって、県3位が最高の成績だったという。

 勉強の努力が実り、1年間の予備校通いを経て東大へ。ここで、レスリングの虫がうずいた。乙黒のほか、同じクラブだった谷山拓磨(拓大)ら「同学年の選手が頑張っていましたから」-。大会の時だけではなく、小学校の時のエリートキャンプで寝食をともにした間柄。「知っている名前の人の活躍を聞いて、やってみたくなりました」と、再びマットに立つことになった。

個人の躍進だけではなく、二部リーグの活性化も願う!

新人戦で闘う有川(赤)=東大レスリング部提供

 これだけの基礎のある選手なら、リーグ戦の二部リーグや、新人戦のBグループ(入学後にレスリングを始めた選手)の中なら目をつぶっても勝てると思われるが、「大学生はパワーがあります。簡単に勝てないです」とのこと。それでも、この優勝を機に上を目指す気持ちが出てきた様子。「部員が増えて部が発展してほしい。東大だけではなく、二部リーグ全体が活性化していってほしいです」と、学生レスリングの底辺充実も望んでいる。

 世界王者の乙黒とは2階級違うが、国体74kg級2位の梅林太朗(早大)、全日本大学選手権70kg級優勝の志賀晃次郎(拓大)、同74kg級2位の前田明都(専大)、JOC杯74kg級優勝の三輪優翔(前述)らの同期のチャンピオン仲間とは、インカレなどで対戦する機会もありそう。「負けたくないのでは?」の問いに、「高校3年間と予備校の1年間でつけられた差は大きいですよ」と苦笑い。

 むしろ、彼らの飛躍を誇りに思い、「頑張ってほしいですね」と言う。彼らは彼らで、有川の東大進学を「すごいな」と言ってくるそうで、お互いに尊敬の念を抱いた大学での再会だった。

 なりたい職業があって東大に進んだわけではなく、これから自分にぴったりの職業を見つける予定。「(将来は)レスリングで培った粘りを役立てたい。東大に進んだことではなく、その後の人生をどう生きるかが重要だと思います」。学生生活はあと3年間、どんな成績を残し、どんな経験を積んで社会へ飛び立つか。







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