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2018.12.12

【特集】平成最後の早慶戦で、慶大躍進の兆し! 集まれ、文武両道の逸材選手!

(文・撮影=樋口郁夫)

68回目を迎えた早慶戦を終え、ノーサイドの両チーム

 「平成の間、ついに勝つことはできませんでした」。12月2日、神奈川県横浜市の慶大レスリング場で行われた第68回早慶対抗戦。日本レスリング界で最も長い対抗戦の閉会式で、慶大OB会の皆本幸造強化本部長は、無念のあいさつをした。早慶戦で、慶大が最後に勝ったのは1984(昭和59)年のこと。翌年から34年間、早大が団体戦勝利を継続している。

 しかし、同強化本部長は決して悲観にくれた表情ではなかった。この日の闘いは、チームスコアこそ0-7での敗戦だったが、軽量3階級では接戦を展開。内容では近来で最も競った対抗戦と言える。その言葉は、「次の世代では、絶対に勝ちます」という宣言と受け止めていいのではないか。

 対抗戦に先立って、慶大の与那覇竜太コーチ(2017年3月に専大卒=2014年全日本学生選手権フリースタイル86kg級優勝)が、早大4年生の斎藤隼佑選手とエキシビションマッチを闘い、0-6の劣勢をはね返して逆転勝ち。貴重な白星を挙げたことで慶大にいいムードができ、軽量級選手の奮戦につながった。

エキシビションマッチで与那覇竜太コーチ(青)が勝ち、慶大が幸先いいスタート

 与那覇コーチは慶大大学院に通っており、連日のように道場に顔を出して選手の指導をしている。これが、慶大の強化に大きく役立っている。これまでにも、警視庁の指導者がコーチに名を連ね、時に現役選手を練習に参加させて技術指導をしてくれた。しかし、勤務の関係もあって週末限定とならざるを得なかった。

 毎日のように指導してくれるコーチの出現は、はっきりと結果に表れている。2017年から一部で闘っている東日本学生リーグ戦は、今年5月の大会でも一部残留を決めた。前年の入れ替え戦は5-2だったが、今年は7-0と前進。来年は入れ替え戦を経験することのない一部残留が目標となろう。

桑田夏陽亜主将が全日本大学選手権で7位入賞

 全日本大学選手権では、57kg級の桑田夏陽亜(なびあ)主将が7位に入賞。東西の大学が総力を挙げてくるこの大会で、慶大選手が8位以内の入賞を果たしたのは、1990年大会90kg級の蓮沼照一朗が8位に入って以来、28年ぶりのこと。

 先月末に行われた東日本学生選手権では、フリースタイル70kg級で山下心京と86kg級の大山泰吾が2位に躍進。あと1勝で全日本選手権出場の資格を取る結果を残した。全日本選手権への出場選手輩出を目前としており、“与那覇効果”は間違いなく表れている。

応援団も登場し、エールの交換

 同大学はスポーツほかの実績をもとにした推薦制度の「AO入試」があるものの、学力の敷居も高く、スポーツだけの実績では入学できない。そんな中、東京・ゴールドキッズ出身の桑田主将は2010年全国中学選抜選手権2位で、文武両道を貫いて慶大へ進学。大学7位の成績を残した。キッズ・レスリングの隆盛は、必然的に「勉強でも、レスリングでも、結果を出す」という選手が増えることを意味する。

 現に、全国少年少女選手権6連覇の有川将士選手が東大へ進んでレスリングをやっており(関連記事=クリック)、今後は勉強の高いハードルを乗り越えて大学でレスリングをやる選手も増えていくことだろう。慶大にとって、追い風となる状況ができている。

 同大学の宮原隆治監督は「結果は0-7でしたが、接戦の試合もあり、手応えのある対抗戦でした。やってきたことを選手は出してくれたと思います。ここ10年くらいの試合を見てきていますが、内容は一番だったと思います」と、選手の健闘を評価。「これからも、日々の精進を忘れずに頑張ってほしい、頑張らせたい」と話した。

 伝統ある早慶戦の今後が期待される。


早大の大黒柱、山﨑弥十朗も出場し、全力ファイトを展開

 ■早大・太田拓弥監督「全日本選手権を控えていますが、この対抗戦は4年生中心に、その年のレギュラーを中心に挑んでいます。68回を数え、重要な公式戦です。学生もその歴史の重みを十分に知っていると思います。ベストメンバーで臨むことが礼儀です。きょうは65kg級の試合までは接戦でした。アウェーだったので、場の雰囲気に飲まれた面もあったかもしれませんが、(慶大選手には)粘り強さを感じました。慶大選手にはもっと頑張ってもらい、歴史ある対抗戦を盛り上げていきたいと思います」

 ■早大・米澤圭主将「伝統ある対抗戦。実力差はあったとは思いますが、伝統に恥じないよう、全力で挑みました。全日本選手権前でけがの心配もありましたが、全力で闘うことが大事だと思いました。この対抗戦を4年間、経験してきましたが、今年が一番緊迫感のある早慶戦だったと思います。アウェーの雰囲気の中、自分もかなり緊張してしまいました。出げいこで他大学に行った時とはまったく違う雰囲気です。全日本選手権へ向けて、いい経験になりました。この先、今回以上の盛り上がりで何年でも続いてほしいです」

須﨑優衣(早大)も応援。世界チャンピオンがいる初めての早慶戦となった

 ■慶大・桑田夏陽亜主将「主将として伝統ある対抗戦で闘えたことを誇りに思います。個人としても、チームとしても納得できる試合ができたと思います。きょうは与那覇コーチが最初に勝ってくれ、波に乗れました。(卒業後は博報堂へ就職)レスリングの仕事がしたくて広告代理店を選びました。何年後になるか分かりませんが、大会運営に携わることが希望です。レスリングをメジャーにするために頑張りたい」

 ■慶大・山下心京副主将「1年生の時から出せてもらいました。納得できる対抗戦でした。東日本学生選手権で、あと1勝で優勝というところで敗れ、その悔しさもぶつけました。小学校5年生からレスリングをやっていて、今回が最後の試合。結果は納得いかなかったですけど、内容的にはいい締めくくりになったと思います」


57kg級で善戦した桑田夏陽亜主将(青=神奈川・慶應高卒)


全日本選手権出場にあと一歩だった70kg級の山下心京副主将(青=香川・高松北高卒)も奮戦







2023年世界選手権/激戦の跡
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