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2019.01.03

【新春対談】東京オリンピック前年! 勝負をかける年へ向けて…対談/西口茂樹・強化本部長&赤石光生・強化副本部長(2)


《第1回》

“うれしい誤算”ではなく、順当勝ちだった世界選手権の乙黒拓斗

世界選手権決勝直後、バックステージでの乙黒拓斗(山梨学院大)。足首の負傷による激痛を乗り越えての優勝だった

 ──そうして、世界選手権では、女子は「金4・銀1・銅2」という好成績を収めました。ただ、この大会で最もうれしい誤算は、男子フリースタイル65㎏級で乙黒拓斗選手が初出場ながら優勝したことではないでしょうか。当時、乙黒選手は19歳10ヶ月。これは1974年にフリースタイル52㎏級で優勝した高田裕司・現日本協会専務理事(山梨学院大監督)の20歳6ヶ月を上回る日本男子史上最年少記録です。

 西口 僕は誤算ではないと思う。今回、高田専務理事は乙黒が優勝する確信があったんじゃないですかね。正直、東京オリンピックまで隠しておきたかった人材ですよ。あんなタイプのレスラーといきなり闘ったら、対戦相手は誰だってびっくりしてしまいますよ。

 ──思い切りの良さに度肝を抜かれる?

 西口 いやいや、乙黒は左右同じことができるという才能を持っている。右の片足タックルを狙いながら、手を引っかけたと思ったら左の片足を狙える。

ロシア王者アフメド・チャカエフとの準決勝でも攻撃レスリング全開だった乙黒拓斗

 ──ボクシングでいうところの、右構えでも左構えでも臨機応変に闘える“スイッチ”に近いタイプということですね。

 西口 はい。我々が見てもびっくりするくらい右でも左でも同じレベルの動きができる。我々が現役時代の時には、左利きは左のレスリング、右利きは右のレスリングと相場は決まっていたのにね。もうひとつ特徴を加えると、スピードもとてつもなく速い。

 赤石 最初から攻めっぱなしというスタイルは僕らがやっていた頃のレスリングに近い。今はじっくりと見合いながら、パッシブやアクテビティタイムで1点というスタイルが主流なのに、乙黒は最初から飛ばしまくる。あの姿勢は間違いなく昔の戦術です。僕らからすれば、本当に見ていて楽しい。

 西口 逃げないしね。

 赤石 ポイントの取り合いをするから、いい試合になるんですよね。他にもそういうスタイルを目指している選手がいると思うけど、乙黒ほど前に出るというスタイルを必ずしも実践しているわけではない。

2月に男子グレコローマンはハンガリーとブルガリアへ遠征

 ──その一方で、世界選手権のグレコローマンの結果は誤算だったと思います。過去の成績から比較すると、ずば抜けて悪かったわけではないけど、前年度には世界王者が生まれている(59㎏級・文田健一郎)から、どうしてもメダル「0」という成績は目立ちます。

 西口 ただ、9位に終わった60㎏級の太田忍は、アジア大会であそこまで頑張ってくれたので(圧倒的な強さを見せつけての優勝)、今回の世界選手権の成績だけで「何やっているんだ!」と責めることは絶対できない。最近、日本のグレコローマンが苦しい時には、いつも太田が踏ん張ってくれた。今回はミスもあって負けたけど、その前の段階の闘いでもある減量方法にも甘いところがあったことを本人も気づいている。彼だったら、この失敗を糧にできると信じています。

世界トップレベルでの紙一重の激闘が今年も予想される文田健一郎(左=ミキハウス)と太田忍(ALSOK)

 ──12月の全日本選手権では文田選手が太田選手を破りました。東京オリンピックに向け、二人の出場切符争奪レースは、今後ますます激化しそうですね。では、次に2019年の強化ビジョンについてお聞きしたいと思います。まず1~3月のスケジュールは?

 西口 グレコローマンは、1月下旬のイラン遠征が中止となり(大会開催地が外務省の指定する危険地域などの理由による)、その代わり2月下旬からヨーロッパへ向かい、ハンガリーやブルガリアの国際大会に出場する予定です。

 赤石 せっかく海外に行くなら、その前後で無理やりにでも合宿を組んでもらいたい。行って、試合をやって、帰ってくるだけの遠征は不経済です。往復するだけで結構な経費がかかりますからね。

 西口 130㎏級の園田新(ALSOK)みたいなケースもあります。園田はグレコローマンの松本慎吾強化委員長(日体大教)に「全部自費でもいいからヨーロッパに行きたい」というお願いをしました。話がついて、3ヶ月ほどハンガリーで単身の合宿を組むことになりました。園田と話をしたら、「いまお金を使わないで、いつ使うんですか?」と訴えていました。「ここで行かなかったら、もう海外遠征に行くこともない」と考えているようです。

 ──覚悟とやる気を感じるエピソードですね。

《続く》







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《オリンピック・レスリングNo.62》

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