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2019.04.20

【特集】31歳でアジア選手権に初出場! 長年の努力の成果をぶつける…男子グレコローマン130kg級・河野隆太(あづまフーズ)


(文・撮影=樋口郁夫)

河野隆太(あづまフーズ)

 31歳にして初の日本代表チーム入り-。4月23日(火)から中国・西安で行われるアジア選手権の男子グレコローマン130kg級に、全日本選手権2位の河野隆太(あづまフーズ=三重)が出場する。同級王者の園田新(ALSOK)が欧州単独遠征中で出場を辞退し、回ってきたチャンス。「まさか日本代表に選ばれるとは思っていなかった。正直、うれしいです。仕事の折り合いもつけ、心の準備もできつつあります」と燃えている。

 もちろん、出場することだけで喜んでいるようでは、日本代表の資格はない。園田ですら、なかなか勝たせてもらえない国際舞台。130kg級の選手であっても、リフト技やそり投げもやってくる。厳しいことは十分に承知している。「高望みはしない。一戦一戦です」。You tube動画でも研究を重ね、2010年世界大学選手権(イタリア)以来の国際大会へ臨む。

31歳での初出場は実質的な日本最年長記録

 今年のアジア選手権は、来年のオリンピックとオリンピック予選を念頭に、できるだけ全日本王者に参加してもらうとの方針が出された。男女の大半の階級で全日本チャンピオンが出場するが、これまでは、底上げのため若手選手に機会を与えることも少なくなかった。31歳で初出場、しかも冬の全日本チームの遠征にも参加したことのない“遅咲き選手”の出場は、極めて異例だ。

昨年12月、選手生活16年目にして初めて全日本選手権決勝のマットに立った=撮影・矢吹建夫

 アジア選手権・アジア大会に「31歳」で初出場を遂げるのは、実質的に最年長の記録となる。“実質的”というのは、1986年アジア大会(韓国)に長内清一が「32歳」で出場したのが、同記録の最年長だからだ。ただ、同選手は幻となった1980年モスクワ・オリンピックに26歳で代表になっており、4年後のロサンゼルス・オリンピックにも出場している。

 当時、アジアのグレコローマンは振興が遅れており、1982年アジア大会(インド)では実施されていない。1979年に始まったアジア選手権もフリースタイルのみ。1983年イラン大会は実施されたが、日本は派遣していない。グレコローマンが継続して行われるようになったのは1989年から。長内は出場する大会がなくての「32歳での初出場」であり、“遅咲き”という選手ではなかった。

 河野の快挙は、もうひとつ。企業の定時勤務の選手にして出場権を獲得したことだ。現在の日課は、水産加工の工場で午後5時まで勤務し、そのあと母校の朝明高校で練習。足りない分はウエートトレーニングで補い、週末は高校の練習にフル参加、あるいは母校の青山学院大ほかに出向いての練習参加。

 レスリングを前提とした“企業選手”は別として、企業の一般社員が最前線でレスリングを続けることは難しい。大学を卒業してからの数年間なら、体力もあるので両立できても、年齢を重ねると簡単にできなくなる。31歳まで仕事と活動を両立させてきたのは、賞賛に値する。

2021年の三重国体までは一線で頑張る!

 中学時代、すでに体重が140kgあった。しかし、決して肥満体型ではなく、大型アタッカーとしてバレーボールに汗を流していた。その頃は総合格闘技「PRIDE」の全盛期。桜庭和志(中大レスリング部OB)が、台風の目だったグレイシー一族を次々と破り、桜庭に憧れて格闘技をやりたい気持ちが強くなったという。

アジア選手権に向け、全日本合宿で練習する河野隆太

 “動ける大型選手”にスカウトの手が伸び、レスリングの道に入った。「(当時の高校選手の上限だった)120kgに落とすことから始めました」。高校2年生の千葉国体で、1ヶ月半前の全国高校生グレコローマン選手権優勝の選手を破って3位に入ったことでやる気が盛り上がり、上を目指すことになったという。

 「まさか、この年まで続けることになるとは思いませんでしたね」と笑う。大学時代、荒木田進謙(専大~現atletic camp LION)やボリス・ムジコフ(山梨学院大)らの壁の前に学生タイトルを手にできなかった心残りが、卒業後もレスリングを続ける気持ちになったという。

 2005年インターハイ同級に出場した選手で、現在まで一線で活躍しているのは荒木田と河野の2人だけ。3年くらい前にやめようという気持ちになったそうだが、周囲の「三重国体(2021年9月)まで頑張れ」との声に、目標を持って続けられるようになった。

 練習相手は高校生が主。他に、男子グレコローマン96kg級で全日本2位の実績のある森保弘・現四日市四郷高監督(日体大OB)とも練習でき、ハイレベルの技術マスターにも力を入れている。一般社員だが、アジア選手権にあたって、直前合宿から約2週間連続、しかもゴールデンウイーク前の繁忙期であるにもかかわらず休暇を認めてくれるなど、最大限の支援はもらえている。

 「期待にこたえたい」。会社のみならず、一般企業の選手や遅咲き選手など“生涯レスリング”を目指す人たちの熱き思いを受けて中国へ向かう。







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《オリンピック・レスリングNo.62》

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