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2019.06.19

【2019年全日本選抜選手権・特集】世界3位の実力発揮、世界選手権出場を決める…女子76kg級・皆川博恵(クリナップ)

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)

予選では不覚を喫したが、決勝ではきっちり勝った皆川博恵(クリナップ)

 世界選手権予選となる明治杯全日本選手権の女子76kg級は2017・18年世界選手権銅メダリスト、第1シードの皆川博恵(クリナップ)が優勝。旧姓・鈴木時代から数えて最重量級8連覇を達成し、世界選手権出場を決めた。結果だけ見れば「順当」の一言だが、優勝までの道のりは予想以上に厳しかった。

 初日の予選リーグからつまずいた。皆川の前に立ちはだかったのは17歳の高校生、鏡優翔(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)。アカデミーで腕を磨く新鋭は、72kg級で昨年の全日本選手権を制覇。国際大会でも結果を残しているホープだ。

 「(鏡は)勢いがあると思って警戒していた。年齢差とか、考えすぎてしまったところがあった…」。弱気の虫が顔をのぞかせてしまった31歳の女王は受けに回ってしまい、試合終了間際にポイントを奪われてまさかの黒星(1-3)。対日本人選手の敗戦は、2013年の全日本選手権以来のことだった。

 コンディションは万全とは言い難かった。女子重量級選手は5月、フィンランドで海外勢と強化合宿を行った。「貴重な経験を積むことができた。分かったことは楽に点数を取れる選手はいない、弱い選手は一人もいないことでした」と皆川。海外のトップ級と切磋琢磨すること得たものが大きかった反面、「遠征が続いて、気持ちの面で疲れが取れないところがあった。そんなことを言ってる場合じゃないんですけど…」という状況だった。

今大会のレスリングでは「世界で勝つには程遠い」

 こうして生まれた心と体の隙を突かれたのが鏡戦だったと言えるだろう。しかし、皆川はここでズルズルと崩れず、きっちり立て直した。これこそが勝ち続けてきた者の力だった。

世界選手権への思いを持ち続けて闘った決勝

 「一番は気持ち。昨日は相手の失敗を待つとか、どこか楽に勝とうという気持ちがあった。『負けちゃいけない』ではなく、『勝ちたい、自分から攻める』という気持ちでマットに上がった」

 ただ、決勝で迎えた鏡とのリマッチも苦しい試合だった。「足が動かなかった」という前日同様、体は思うように動かない。それでもキャリアに裏打ちされた組み手でホープに思うような攻撃をさせず、最後は気持ちで踏ん張っての勝利。ほっとした表情が印象的だった。

 ベテランの意地を見せて優勝したものの、その内容に納得しているわけではない。「昨日、今日のようなレスリングでは、世界で勝つには程遠い」。世界選手権は2012年を皮切りに5度出場しているだけに、そのことはよく分かっている。

 現在の76kg級は「4、5人くらいのトップ選手が頭一つ抜けていて、そのあとに続く選手たちがいる」という状態。2番手グループを自認する皆川は、メダル獲得に向けトップ選手たちの牙城を崩さなければならない。

 そのためには練習あるのみ。まずは心身をリフレッシュして万全な状態を作り上げることがスタートになりそうで、その意味でもプレーオフを避けられた意味は大きい。世界選手権への抱負を問われると「しっかり準備をして臨みたい」と自分に言い聞かせるように答えた。







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