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2019.06.22

【2018年全日本選抜選手権・特集】独走を続けた男子最年少世界王者に一矢を報いた樋口黎(男子フリースタイル65kg級=日体大助手)


(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

難攻不落と思われた日本男子の最年少世界王者を破った樋口黎(日体大助手)

 文田健一郎VS太田忍、伊調馨VS川井梨紗子など、今年の明治杯全日本選抜選手権は手に汗握る激闘が続いた。そうした中、乙黒拓斗(山梨学院大)VS樋口黎(日体大助手)の男子フリースタイル65㎏級決勝は、アップセットという意味で最も大きなインパクトを残したと言えるだろう。

 大会前、この階級の、いや、男子レスリング全体を見渡しても、主役は乙黒と言われていた。無理もない。昨年は世界選手権の日本男子史上最年少の優勝記録を塗り替え、19歳で初制覇。その勢いで全日本選手権決勝はわずか33秒でテクニカルフォール勝ちを収めている。この時点で、乙黒は「東京オリンピックで最も金メダルに近い男」という高い評価を受けていた。

 対する樋口黎は2016年リオデジャネイロ・オリンピックの男子フリースタイル57㎏級銀メダリスト。階級変更に伴い、2017年の全日本選手権からオリンピック階級の65㎏級で闘っている。昨年のこの大会では決勝で乙黒と、全日本選手権では準決勝で、それぞれ乙黒と激突。いずれも敗れている。
 
 そうした結果を踏まえ、今回も巷では「乙黒有利」という声が大きかったが、今回は第1ピリオドから過去2回の対決とは趣を異にしていた。先手をとったのは樋口の方だった。一本背負いで2点を奪ったが、乙黒も負けてはいない。そのままの流れでバックを奪い、すぐ点を返す。お互いカウンターのその先を狙うというハイレベルな展開に、大観衆は固唾を呑んで見守るしかなかった。

リオデジャネイロから3年をかけて65kg級の体へ

 3-3と乙黒がリードする形で迎えた第2ピリオドになってから試合は大きく動いた。乙黒が両足タックルを決めると、その軌道のまま樋口は回して返す。その後は乙黒にカウンターを決めさせない戦法で、片足タックルや両足タックルで得点を重ねていく。最後は15-5でテクニカルフォール勝ちを収めた。

相手の手首をつかんで場外へ押し出した樋口

 白眉(はくび=傑出)は樋口が立ち上がってきた乙黒の背後に回り、相手の右手を背後で掴んだまま場外に押し出したシーンだろうか。忘れてはいけない。昨年は乙黒に連敗を喫しているとはいえ、樋口は11月のU23世界選手権(ルーマニア)では優勝していることを。リオデジャネイロ大会から3年近く、樋口はきっちりと65㎏級の体を作りつつあるように見えた。

 試合後、樋口は「この1年間、フィジカル面や技術面を見つめ直してきたことがしっかり出せた」と振り返った。「先に奇襲という形で一本背負いを見せることができたり、がぶりで回る素振りを見せたことで、得意の片足タックルも効率よくできたと思う。65㎏級に上げてからリーチの差やパワーの差を痛感していたので、57㎏級の時とはまた違ったフィジカルアップのトレ-ニングであったり、(乙黒のような)リーチの長い相手にどう闘っていくかをかなり研究してきました。その成果が優勝につながった」

 独走状態を続ける乙黒に一矢を報いた樋口はこうも言った。「リオの時より2段階、3段階、格段にいいレスリングができていると思う」

 乙黒との最終決戦は7月6日のプレーオフに持ち越された。世界選手権に先にある東京オリンピックに向けての出場権争いは、さらに激化するのか。主役はどっちだ!?







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《オリンピック・レスリングNo.62》

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