日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2019.06.23

【2019年全日本選抜選手権・特集】半年前の後悔を克服、望みをつなぐ優勝…女子57kg級・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)


(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

全日本選手権決勝の雪辱を果たした川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

 明治杯全日本選抜選手権の女子57kg級は、大方の予想通り、伊調馨(ALSOK)と川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)の一戦となった。ともに予選リーグをそれぞれ1位で突破し、決勝トーナメント準決勝も勝ち進んできた。

 約半年ぶりの対戦は、全日本選手権決勝以上に最後までもつれるクロスゲーム。第1ピリオドに川井がアクティビティ-・タイムで1点を先制し、第2ピリオドになっても、タックルとアンクルホールドでポイントを重ね、一時は5-0までリードした。

 しかし、昔も今も伊調は劣勢になってからの巻き返しに強い。案の定、この日も川井のタックルを切り返してバックを奪って2点を返す。さらに川井を場外まで押し出して1点を加える。この時、勢い余ってマット横の看板を倒し、場内からどよめきが起こった。

 残り時間が2秒51というところで伊調はコーションでもう1点を奪い返す。これで5-4。試合終了間際、伊調はさらに川井を場外へ押し出した。一気にどよめく場内。それはそうだろう。全日本選手権で伊調はラスト10秒で逆転に成功している。

 5-5というタイスコアなら、ビッグポイントの差で川井の勝利だが、川井に場外逃避のコーションがあれば3コーションで失格、テークダウンによる2点なら6-5で伊調の勝ちとなる。レフェリーは場外へ出たのは試合終了後のアクションと見なしてこれを認めなかった。伊調側はすぐチャレンジ(ビデオチェック申請)したが異議は認められず、結局、伊調側のチャレンジ失敗の1点を加えた川井が6-4で薄氷の勝利を収めた。

応援してくれる人が想像以上にいた!

 全日本選手権の雪辱に成功した川井は、前日62㎏級で優勝した妹でセコンドの川井友香子と抱き合い喜びを分かち合った。「試合が終わった直後はうれしい気持ちでいっぱいでした」。インタビュースペースに現れた時には落ち着きを取り戻し、川井は「無我夢中だったのか、あまり決勝のことは覚えていません」と激闘を振り返った。

テークダウンを取って5-0とリード

 「ただ、姉妹で東京オリンピックに出るという目標だけはぶれていない。その目標に向かって頑張りたいと思います」

 全日本選手権で伊調に敗れてからの6ヶ月間、川井は「なぜ自分のレスリングができなかったのか?」と悩み続けた。突き詰めていくと、合計6分間という試合時間内に勇気のない自分がいたことに気づく。「結局、勇気を出せないまま試合時間が終わっていた」

 だったら、どうすれば勇気を出せるのか。考えれば考えるほど苦しくなる日々。闘うことが怖くなった時もある。そんな川井を救ってくれたのは、想像以上に自分を応援してくれる人たちが多いことに気づいた時だった。山梨学院大への出稽古も大きな刺激になった。「どんな試合内容になっても、試合時間は6分間しかない。6分1秒になってから勇気を出しても意味はない。だったら試合時間の中で自分の力を出し切ろうと思いました」

だれもが「負けたくない」闘い、「私も負けたくなかった」

 メディアは、とかく“オリンピック女王対決”となるVS伊調をクローズアップしがちだが、川井は後輩たちの必死さとオリンピックにかける執念も肌で感じていた。「自分には馨さんだけという意識はなかった。後輩とも勝負しないと勝てないと思っていたので、初日(予選リーグ)から気合いを入れて闘っていました」

リベンジ&優勝を決め、笑顔の川井梨紗子

 案の定、川井とぶつかる後輩たちの気迫には凄まじいものが感じられた。予選リーグ初戦で当たった南條早映(至学館大)には4点を先制されている。いみじくも川井は言う。「みんなから『負けたくない』という気持ちが感じられました。でも、私も負けたくなかった。だから、とにかく目の前の対戦相手に集中しなければいけないと思っていました」

 記者とやりとりする中で、川井は思わず本音を吐いた。「あとひとつ(プレーオフ)ある。安心はしていないけど、とりあえずここでダメにならなくて良かったと思います」

 もうひとつ勝たないと意味はない。







サイト内検索

JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

《オリンピック・レスリングNo.62》

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。
《送信先》 jwf-homepage@memoad.jp


フェアプレイで日本を元気に