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2019.07.10

【2019年世界選手権代表選考プレーオフ・特集】史上空前の盛り上がりを制し、世界選手権へ挑む女子57kg級・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)


(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

多くの思いが交錯し、勝利者インタビューの最中に涙ぐんだ川井梨紗子

 伊調馨(ALSOK)とのプレーオフを制した直後の会見で、川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は、意外な事実を打ち明けた。「昨年、自分を取り巻く環境がすごく変わって、12月には一度やめようと思い、家族とも相談しました。やめなくてよかった」。その変化が何であったかといえば、昨年6月それまで川井を指導していた栄和人・至学館大監督の電撃解任であることは想像に難くない。

 天皇杯で伊調に敗れた直後、川井はそこまで追い込まれていた。奈落の底へ突き落とされてからの世界選手権出場権獲得。だからこそ伊調との女王対決ファイナルを手にした意味は大きい。

 さらに、川井は試合後、自分と同じようにかつて姉妹で活躍していた伊調に特別な思いがあったことも吐露した。「私が小学生の頃、アテネ・オリンピックで女子レスリングはスタートしました。千春さんと馨さんが姉妹で出ているということは、すごいなと思いました」

ずっと前から存在していた伊調との闘い

 隠されていた姉妹のドラマ。2016年リオデジャネイロ・オリンピックを目指すようになると、58㎏級に狙いを定めた。当時、この階級にはオリンピックで前人未踏のV4を目指す伊調馨がいた。2013年から14年にかけ、川井は3回ほど伊調の牙城に挑んだが、いずれも敗北。1点をとることすらできなかった。

川井は勇気を出した果敢に攻めた

 川井は、周囲の薦めもあって63㎏級にアップした。最大の理由は伊調の存在を抜きに語ることはできない。たくさん泣いた。58㎏級にこだわりはあったが、背に腹は返られない選択だった。「(結果的に、あの時は)63㎏級に上げてよかったと思います」

 妹の友香子と一緒に2020年東京オリンピックを目指すようになると、さらに伊調姉妹のすごさを肌で感じた。「簡単に代表になっていると思いました。でも、いざ自分たちが代表を目指すとなった時に、姉妹でそうすることがいかに大変なことなのかが分かりました」

 巷では二人の女王の対決を“昨年12月から”と定義づけたがるが、それは違う。川井にとって、伊調は小学生の時から意識していた存在だった。だからこそ、接戦だろうと、タイスコアだろうと、勝つことが重要だった。

 昨年12月の時には不安とプレッシャーで全く聞こえなかった家族からの声援も、今回ははっきりと聞こえていた。「6月の明治杯で伊調さんに勝って、自分の構えが若干引いてしまい、もつれる展開になった時も、友香子からの『最後まで自分の構えを崩さないで』という声が聞こえました」

 友香子あっての梨紗子。梨紗子あっての友香子。ふたりの間には誰も入る余地はない。試合終了直後、抱き合った友香子は笑顔とともにこんな言葉を姉に投げかけた。「一緒に世界選手権に行くんだよ」

初めてオリンピックを目指している気持ち

 川井にとっては、リオデジャネイロで金メダルを取ったあと、3度目となる世界選手権(通算5度目)。もちろん翌年にオリンピックを控えているだけに、過去2回の出場とは意味合いが大きく違うことも理解している。

伊調のデフェンス力に苦しめられたが、最後は勝利

 「オリンピックがかかってくるとなると、海外の選手たちもそれなりに力が入ってくる。みんながオリンピックを目指しているわけですからね。去年の世界選手権は私が優勝して友香子が2位になっているけど、今回も(メダル獲得が)確実というわけではない。気を引き締めて頑張ろうと思います」

 続けて川井はこうも言った。「私は2連覇を目指しているけど、リオと東京では大きく異なる。リオが終わってから、私は初めて世界チャンピオンになった。そこで初めて注目されるようになった。そういった立場でオリンピックを目指したことはなかったので、いまは初めてオリンピックを目指している気持ちです」

 史上空前といってもいいほど盛り上がった伊調との連戦で、川井はさらに一回り大きくなったか。







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《オリンピック・レスリングNo.62》

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