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2019.07.25

【東京オリンピック1年前・特集】2度の東京オリンピック取材を目指す89歳の現役記者、宮澤正幸さん(2)


《No.1》

1987年4月の全日本チームの米国遠征に同行した宮澤さん(前列右端)=本人提供

 1964年東京オリンピックのあと、本格的にスタートした月1回の協会機関誌の発行。当時はメールどころかFAXもない。印刷会社の人と新宿駅などで待ち合わせて原稿を渡し、出来上がったものを駅で受け取り、赤字を入れて、また待ち合わせして返すといった作業。仕事の合間でのやりとりなので、大会の3~4カ月後に記事が出ることもあった。

 もう時効だろうから問題にはされまいが、新聞社の仕事の合間に協会誌を編集していたこともしばしば(周囲のだれかが気がついても、告げ口する人などいない大らかな業界・時代だったが…)。それでも時間がない。大会記録のリザルト(当時は手書きがほとんど)を、そのまま機関誌のページに貼り付けることも多かった。

 これに、のちに協会理事長を務めた村田恒太郎氏が“クレーム”をつけた。「記録は協会へ行けば調べられる。記録はいいから、物語をもっと多く入れるべきでは」。宮澤さんの記者としての性(さが)が、このリクエストを受け入れることができなかった。記録を後世に残すことは重要な作業。抜けてしまうと、後年、その大会の記録を調べる手段はなくなってしまう。

「ラウンド」「フライ級」から「ピリオド」「kg級」への是正

 ある年の国体のひな壇でその話になった時、のちに全日本学生連盟や全国少年少女連盟の会長を務めた西日本の重鎮、押立吉男氏(吹田市民教室代表)が両者の意見を聞いてくれた。押立さんは「同輩・宮澤さんの主張が正しい」と言ってくれた。「東京に住んでいれば、協会事務局に行って記録を見ることはできる。地方の人間はそんなことできない。大会の成績は多くの人が関心を持っている。自分の名前が1行でも掲載されることで、選手はやる気を出すもの。記録をないがしろにしてはならない」-。

昨年11月、拓大レスリング部80周年記念パーティーであいさつする宮澤さん

 記録保存の熱意は続いた。後年、事務局長などから「叙勲申請などで戦績や略歴を出す時、宮澤さんの作っていた機関誌が役に立ちましたよ」と言われることが多くあり、うれしさを感じることが多かったという。

 独断で“改革”を実行したこともある。現在、試合は「ピリオド」で表記されており、階級は「kg級」だ。以前は、試合時間は「3分3ラウンド」などと表記され、階級は「フライ級」などの呼称が使われていた。これは世界基準の呼称ではない。

 「いつだったかの国際大会で、フライ・ウェートクラスと言っても、ヨーロッパの選手は理解できなかったんです」。日本のレスリングは米国から来たので、宮澤さんは「米国でこう呼ばれていたのでは?」と推測するが、米国ミネソタ州で大学までレスリングをやり、本ホームページで長年英文記事を執筆していたウィリアム・メイ氏(元国士舘大コーチ)は「アメリカで(フライ級などの呼び方は)聞いたことはない」とのこと。

1987年秋に機関誌の表紙がカラー化

1987年秋に表紙がカラー化された協会機関誌

 ボクシング界がそういう呼称なので、格闘技記者がそう命名したものと考えられる。「世界基準でなければおかしい」。そこで、だれにも相談せず、機関誌での呼称を「ピリオド」「kg級」に変えた。クレームは一切なかったが、「独断でやる人間だったから、面白くない人もいたでしょうね」。その“伝統”は、のちの広報にも受け継がれているようだが…。

 強化中心の協会だったがゆえに、機関誌の編集費「0円」の時代が長く続いたものの、最後の方は月に数万円程度までの取材費・写真費は出たようなので、宮澤さんの熱意は少しずつ認められていった。1987年秋には、当時の金子正明広報委員長(1968年メキシコ・オリンピック金メダリスト)が、ここでも独断で初めて表紙のカラー化に踏み切った。

 数万円多くの経費がかかったが、同委員長は某企業と交渉して広告を取ってくるなど、活動する委員長だった。ゆえに、だれも文句は言わず、協会内での評判もよかったので、毎号ではないがカラーの表紙となった。強化一辺倒できた協会にも、宣伝・広報の重要性が徐々に浸透してきた表れだった。宮澤さんは機関誌上で「断の一字」と、広報委員長の行動と決断を称えた。

 宮澤さんも自宅近くの書店に置いてもらうという大胆な広報活動に挑み、「2冊売れたそうです」と笑う。

《続く》







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《オリンピック・レスリングNo.62》

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