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2019.08.18

【特集】東京オリンピック出場枠獲得にかける(4)…男子フリースタイル57kg級・高橋侑希(ALSOK)


(文=布施鋼治)

高橋侑希(ALSOK)

 「以前は負けている夢ばかり見ていたけど、最近は勝つ夢ばかり見ていますね」

 男子フリースタイル57㎏級の高橋侑希(ALSOK)は、世界選手権に向けて着々と準備を整えつつある。8月上旬、強化合宿中の山梨学院大レスリング道場。大会まで約1ヶ月半の期間があるというのに、高橋の体は明日にでもマットに立てると思えるほど出来上がっているように見えた。

 「いつ試合がきても、いけるように調整しているというか…、いつも通りにやっているだけです。順調にいけたらいいなと」

 彼の仕上がり具合を見た強化スタッフは「非常に安定している」と口を揃える。その理由について高橋は「調子がいい、悪いの波がなくなったから」と分析する。「ちょっと前までは、波が多かったといえば多かった。その波を一定に抑えることができるようになったんだと思います」

2017年世界選手権で優勝した時の高橋侑希

 恩師の高田裕司監督(日本協会副会長・専務理事)がよく言っている言葉の「不安を残して試合に臨むと、その不安が試合に出てしまうぞ」に、高橋は深くうなずく。今年4月、中国で開催されたアジア選手権の準決勝では、昨年夏のアジア大会に続きカン・クンスン(北朝鮮)に連敗。改めて自分の足元を見つめ直した。

 「オフェンス力が足りない。前半から飛ばせない。接戦になるのが怖い」

 この3大ウィークポイントを払拭することはできた? 「ハイ。今は練習でも、取れなくてもアタックし、自分からいけている。うまくいかないこともあるけど、世界選手権でも自分からいけると思っています」

東京は見ていない! 「目先の試合を大切にしたい」-

 高橋には忘れられぬ一戦がある。2015年12月の全日本選手権。翌年に控えたリオデジャネイロ・オリンピック出場を狙っていた立場でありながら、3回戦で川野陽介(自衛隊)にまさかの敗北を喫してしまった。高橋は「あまり考えないようにしているけど、まだ心の中に残っている」と振り返る。

世界選手権へ向け全日本合宿で練習する高橋侑希

 「それでも、再び立ち上がることができたのは、あの時、僕を応援してくれていた人たちが本当に落ち込んでいたから。自分がそうさせたことが悔しくて、今、頑張れていると思います」。今の高橋の視界に見えているのは、東京ではなく、世界選手権の舞台となるカザフスタンの首都ヌルスルタン。その理由を聞くと、「目先の試合を大切にしたい」と答えた。

 「明治杯(全日本選抜選手権)に出る時には、けがをしないようにしっかり調整しました。明治杯で優勝できたら、次は体力強化。そして世界選手権前になったら、再びしっかり調整する。先々のことまで考えないようにしています」

 世界選手権で手を合わせてみたい相手として、高橋は昨年の世界選手権準決勝で辛酸を嘗めさせられているザウール・ウグエフ(ロシア)の名を挙げた。「もし再戦が実現したら、最初からアタックしていこうと思います。(北朝鮮の)カン・クンスン? 当たったら勝つだけです。途中で向こうがこけてしまう可能性もあるので、闘えるかどうかわからないですけど」

 勝負師としては典型的な直感派。理詰めではなく、その場その場の感性に身を任せる。東京オリンピック出場がかかった中央アジアの地でも、その直感を活かせるか。ヌルスルタンでは、見ている者にも夢を見させてくれ。


2019年世界選手権=東京オリンピック第1次予選(9月14~22日、カザフスタン・ヌルスルタン)
男子フリースタイル57kg級代表・高橋侑希(ALSOK)
 1993年11月29日生まれ、25歳。三重県出身。三重・いなべ総合学園高~山梨学院大卒。159cm。2009~11年に3年連続でインターハイ優勝。2012年には1年生で全日本大学選手権優勝。2014年に世界選手権へ初出場して5位入賞。2015年全日本選手権でつまづいてリオデジャネイロ・オリンピックの道は断たれたが、2017年世界選手権で日本男子フリースタイルとしては36年ぶりに優勝。2018年はアジア大会、世界選手権とも3位で、2019年アジア選手権も3位に終わった。
略歴(詳細) JWFデータベース UWWデータベース 国際大会成績
男子フリースタイル57kg級・展望 / 5位以内がオリンピック出場枠獲得、3位以内は協会規定により日本代表に内定






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