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2019.08.30

【特集】東京オリンピック出場枠獲得にかける(12)…女子62kg級・川井友香子(至学館大)


(文=保高幸子)

川井友香子(至学館大)

 「メダルは、もちろん取りたい。目の前の相手一人一人に勝って、その結果、メダルが取れたらいいな、と思います」と控えめに決意を語るのは、世界選手権・女子62kg級代表の川井友香子(至学館大)。この数年で大きく成長し、昨年は世界選手権で銀メダルを獲得した。2016年リオデジャネイロ・オリンピック63kg級で金メダルを獲得した姉・梨紗子とともに、今回は姉妹でのオリンピック出場を目指す。

 「自分がこのレベルまで来られるとは思っていなかった。口では言っていたけど、無理だろうな、と思っている部分もあった」。自分が本当にオリンピックに挑戦することは、つい最近になって自覚した。

 東京で開催されるオリンピック。姉妹で目指すチャンスがあることは、2度とないこと。挑戦できること自体が幸せだと2人で話したというが、リオデジャネイロ大会の後、姉がメディアに「次の東京オリンピックは妹と出ます」と言っているのを聞いて、複雑な気持ちだった。もちろん、それを目指して同じ門をくぐった。しかしあの頃は姉との差が大きく「あこがれだった」からだ。

転機となった2017年世界選手権(フランス)

 その頃、肩を脱臼し、世界ジュニア選手権出場のチャンスをつぶしていた。リハビリ中、川井はどん底だった。「先が見えなくて、マイナス思考に拍車がかかりました。このまま埋もれていくんだろうなと思っていた」-。オリンピックは夢物語か、それ以上に果てしなく遠かった。

 そんな川井が変わったのは、梨紗子から言わせると2017年の世界選手権以降だという。けがで伊藤彩香が辞退した63kg級代表の座を、3つ巴のプレーオフに勝って手にした。プレーオフ直前の世界ジュニア選手権は9位、世界選手権では8位と成績は満足いくものではなかったが、「立て続けに試合に出ることができてよかった」と言う。けがで棒に振った2016年を取り戻すかのように試合し続け、成長の糧になったのは間違いない。

「大きいことを口にするのは好きじゃない。情熱は溜めておきたい」

 目立ちたくない、負けたくない、でも負けるかも…。常に最悪の事態を考えてしまう性格だと言う。昨年の世界選手権銀メダルも「私はノーマークの選手だったから」と言い、自分を高く評価するのも苦手。「変えたい、と思うこともあったけど、これが自分だと受け入れることにしました。恐怖心と共にあるんです」―。

昨年の世界選手権は銀メダルに終わり、表彰台では悔しさいっぱい

 今は名実ともに日本のトップレスラーとなり、世界のメダリスト。恐怖心はその成長の源にあるのかもしれない。「地味にやっていくタイプで、大きいことを口にするのは好きじゃない。情熱は溜めておきたい」。燃える気持ちを表に出すのは性に合わない。心の内で闘志を燃やしてここまできた。

 梨紗子が「レスリングができない時期が長くあったからこそ、今、やりたいという気持ちが誰よりも強いんだと思う」と言うように、川井は「この数年、プレーオフがあったり、けがの悩みもレスリング以外の悩みもあって、そこから負けたくないという思いが強くなり、レスリングを第一に優先するようになった」と、レスリングのために注ぐ気持ちになれた。

 4月のアジア選手権では、決勝でアイスルー・ティニベコワ(キルギス)に6-8で敗れた。「けがもあり、明治杯(全日本選抜選手権)に向けて棄権しようかと考えていて、気持ちをしっかり作れていなかった」と、精神面の準備不足があったことを認める。あの時負けた経験をしたことで、世界選手権へ万全の準備を整える重要性も学んだ。

 オリンピック予選だからと気負いすぎず、いつもと同じ世界選手権という気持ちで挑めば、いい結果がついてくるだろう。「誰が相手でも自分のレスリングを出し切る」ことをモットーに、3回目の世界選手権で表彰台の頂点へ。姉との約束を胸にマットに立つ。


2019年世界選手権=東京オリンピック第1次予選(9月14~22日、カザフスタン・ヌルスルタン)
女子62kg級代表・川井友香子(至学館大)
 1997年8月27日生まれ、22歳。石川県出身。愛知・至学館高卒。162cm。2013年世界カデット選手権出場などを経て、2015年全日本選手権60kg級2位へ躍進。2016年に負傷で戦列を離れたが、全日本選手権で復活して60kg級3位。2017年に63kg級代表選手の負傷辞退によって世界選手権に出場し、8位へ。その後、全日本学生選手権63kg級、全日本選手権59kg級で優勝。2018年は62kg級で世界選手権2位のあと、U23世界選手権で優勝。
略歴(詳細) JWFデータベース UWWデータベース 国際大会成績
女子62kg級・展望 / 5位以内がオリンピック出場枠獲得、3位以内は協会規定により日本代表に内定






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《オリンピック・レスリングNo.62》

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