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2020.05.13

【特集】4年前に続いての試練! 収束を願い、今は耐える時…女子76kg級・皆川博恵(クリナップ)

(文=布施鋼治)

引退試合とも考えていた2017年世界選手権(フランス)。銅メダルを手にしたことで気持ちに変化が

 女子76㎏級の皆川博恵(クリナップ)に再び試練が訪れた。

 2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの時には、75㎏級での出場が“当確”と思われる活躍を見せながら、前年の予選直前に大けがを負ってしまい、リオ行きはかなわなかった。オリンピックの翌年の2017年の世界選手権出場を決めると、皆川はこの舞台を引退の花道にしようと考えていた。

 ところが敗者復活戦を勝ち抜き、銅メダルを獲得。世界で実績を残せたことで皆川は現役続行を決意する。その後の活躍はいわずもがな。2017年11月に拓大レスリング部に在籍していた皆川拓也さんとの結婚したこともプラスに働いたのだろう。昨年の世界選手権ではファイナリストとなり、優勝は逃したものの東京オリンピックの代表切符も手にした(内定)。

 しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行で東京オリンピックは1年延期に。再び大舞台を目前に控え、じっと耐えざるをえない立場に置かれてしまった。皆川は「リオの前はすごく落ち込みました」と打ち明ける。「でも、今回の試練は前回とは理由が違う。今回はリオの経験があったからこそ、(必要以上に)精神的に落ち込むようなこともないのかなと思います」

 4月7日、日本政府が緊急事態宣言を発令し、国民に外出を控えるように通達する前から皆川は新型コロナに敏感だったという。「その前からコロナは流行っていた。自宅から(練習の拠点である)自由ヶ丘学園高校まで片道1時間半ほど電車移動しなければならない。結構それが不安でしたね」

激しい自主トレによって体重は増えていない

 自由ヶ丘学園高校での練習も3月半ばでストップしてしまった。現在の外出は食料品の買い出しのみで、それも、軽いストレスになっていると言う。「ちょっとでも頭が痛くなった時に『これはもしかしてコロナなのではないか?』と疑ってしまう。なので、買い物に行ったらすぐシャワーを浴び、着ていた洋服も洗うようにしています」

自宅で自主トレーニングを続ける皆川博恵(クリナップ)=本人提供

 練習は自宅での自主トレが中心。皆川は自身のSNSにもトレーニングの模様をアップしている。「いまはずっと家にいて時間もあるので、自分で動画を編集しています」
 
 練習メニューはフィジカルトレーナーに作ってもらい、午前と午後に分けてやっている。「アップやストレッチを入れたら、全部で1日3時間くらいやっていると思います。これで結構いっぱいいっぱい」

 トレーナーから「体重は毎日計るように」と指示されているので、ウエート管理にも敏感だ。「私は動かないと体重が増えるタイプ。いまは結構お腹いっぱい食べているけど、もらっている練習メニューをやっていたら体重は全然増えない」

 もっとも、自主トレだけで満足のいく調整ができないことは百も承知している。「この期間に体力を向上させることは無理。でも、体を動かした分、ストレスは軽減され、免疫が上がったりするかもしれない」

練習は「世の中がもう大丈夫という形になってから再開したい」

 仮に普通の練習が再開できたとしても、「今までやってきた練習はすぐできない」と感じている。「たぶん、心肺機能が一番落ちていると思います。心拍計をつけてサーキットトレみたいなことはしているけど、レスリングのスパーリングとはちょっと違う。それでも、やれることはやらないと」

今年2月のアジア選手権(インド)で優勝。勢いをつけたが、今は“中断”

 本格的な練習再開については、もう少し先になると考えている。「もちろんレスリングをやりたいという気持ちはあるけど、今は、感染させることも感染することも怖い。世の中がもう大丈夫という形になってから再開したいですね。そういう状況にはすぐならないと思いますけど」

 東京オリンピック開催は2021年夏。皆川は「ずっと夢見てきた舞台なので、もちろん思い入れは強い」と前置きしたうえで、困窮にあえぐ人々を憂う。「明日の生活がどうなるか分からないという人がたくさんいる。そういう方々にも穏やかな日常が戻って来て、オリンピックを応援してくれ、楽しむ余裕ができて、初めて開催する意義があるのではないでしょうか」

 今はオリンピックについて言及する時ではない。皆川は新型コロナが1日も早く収束することを願っている。







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