日本レスリング協会公式サイト
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2020.09.25

【特集】高校レスリング発祥県のプライドで開催へ! 熱き闘いが戻ってくる…10.9~11風間杯全国高校選抜大会(新潟市)

 日本レスリング界に熱き闘いが戻ってくる! 新型コロナウィルスの感染拡大で停滞していたレスリングの大会が、いよいよ再スタートすることになった。10月9日(金)~11日(日)に新潟市で行われる風間杯全国高校選抜大会。8月末まで開催が危ぶまれていたが、新潟県レスリング関係者の努力により、実施が確実になった。

 高体連レスリング専門部の原喜彦副理事長(新潟・県央工高教)と大会の樋口雅巳事務局長(新潟・東京学館新潟高教)に、開催までの経緯と苦労を聞いた。


――今年3月に予定されていた例年の大会は、2月末に中止が決定されました。苦渋の決断だったのでしょうか。

 そうですね。企業からの協賛金もいただき、パンフレットも作成していました。県からの要請もあり、中止はやむをえなかったです。

3月の開催は中止となったが、10月に実施されることになった風間杯全国高校選抜大会=写真は2019年大会

――その後、インターハイ(群馬・前橋市)、全国高校生グレコローマン選手権(和歌山・和歌山市)と中止決定が続きました。6月6日の日本協会理事会では、鹿児島国体(日置市)も中止になった場合、新潟市で代替大会開催の用意がある、と報告されました。その経緯は?

 国から発出された緊急事態宣言が終わった後、日本協会の高田裕司専務理事から代替大会開催の打診がありました。厳しいとは思いましたが、専務理事が「高校生に目標を与えたい」と熱く話されました。いろんな競技で代替大会の話が出てきたこともあり、高体連レスリング専門部の千葉裕司理事長にも入ってもらって検討を始めました。

――日本協会からの強い要望があったのですね。

 全国の高校の監督にアンケートを求め、やってほしいという要望も多かったです。インターハイ予定だった館林市、全国高校グレコローマン選手権予定だった和歌山市を含め、代替大会の候補地を探しました。この中で、エントリーも組み合わせも決まっていたのはウチだけで、一番やりやすいのではないかな、と思いました。

感染者を出さないことを第一に考える

――新潟県レスリング協会としては、いかがでしたでしょうか。

 池田進会長、斎藤喜慶副会長、和田喜久夫理事長とも「できるのなら、やってほしい」との意見でした。ネックは会場でした。

――当初は、いつもの新潟市体育館だったと聞いています。

 予定した日は、最初は新潟市民マラソンの予定があって、新潟市体育館の使用が決まっていました。この大会が中止となったので空くだろう、と思ったのですが、別の競技の代替大会が入ってしまい、借りられなくなりました。あきらめかけたのですが、池田会長ら県協会が動いてくれ、東総合スポーツセンターに決まりました。実は、卓球とバドミントンの大会が予定されていたのですが、交渉し、レスリングに譲ってもらったのです。

新潟市での開催に尽力した池田進・新潟県協会会長=2019年大会

――新潟県におけるレスリングの占める位置が分かりますね。

 池田会長、斎藤副会長、和田理事長のレスリングにかけるプライドだと思います。日本における高校の最初の全国大会は、インターハイではなく、新潟市での全国高校選抜大会なわけです(注=全国高校選抜大会は1953年スタート、インターハイは1954年スタート)。こういう時だから新潟で、という気持ちがあったと思います。

樋口 最初は、やれるのかな、という気持ちでした。やるとなっても、三密を避けるにはどうすればいいのか、ということで頭がいっぱいでした。今もですが(笑)。感染者を出さない、ということで頭の中が埋まっています。

 5~6月と言えば、「感染防止」と「経済を回せ」という2つの意見が対立していた時期です。決断は難しかったです。ホテル業界や観光業界は歓迎してくれましたが、教育委員会は高校生の県をまたぐ移動を8月末まで禁止していました。それが9月末までに伸び、その段階で開催はあきらめました。

日本協会など多くの人に支えられての大会開催

――開催を正式に発表できなかったのは、そうした理由があったのですね。

 移動禁止は9月末までとなったのですが、北信越や全国の大会参加は可、となりました。県外からの受け入れも大丈夫、と確認でき、9月6日にやっと開催を発表できました。大会まで約1ヶ月の段階でしたね。

――大会開催のノウハウを持っている新潟県でなければ、準備の時間が足りなかったでしょうね。

 新潟県にも感染防止の専門家会議があり、そこからの承認も得たのですが、ドクターの派遣は無理となりました。日本協会に相談したところ、スポーツ医科学員会からドクター2人、トレーナー1人を派遣していただくことになりました。多くの人に支えられての開催です。

熱戦が予定される新潟市東総合スポーツセンター=写真は2011年全国少年少女選手権

――条件はどこも同じだと思いますが、選手の練習量は減っているはず。感染者が出るかどうかとともに、練習不足からくる負傷の多発も心配されますね。

 当初予定の3月から半年たつので、2kgオーバーで計量し、無理な減量を防ごうと思います。学校対抗戦は、メンバーを入れ替えてもいいことにしました。階級を上げてエントリーすることもできます。無理な減量による体力の低下、そこからくるけがは避けたい。1年生の出場を認めてほしい、という意見もありましたが、本来は今の2年生と3年生の大会なわけで、ここは規定通りにしました。

樋口 減量で体力が低下している状態でコンタクトするスポーツですから、他のスポーツ以上に感染の危険が大きいと思います。

 日本協会のスポーツ医科学委員会には、入場の際の検温の時からしっかりチェックしていただく予定です。専門家に「出場は認められない」と言われたなら、苦情も来ないでしょう。減量によって出た熱かどうかの判断もしてもらえると思います。

――ここ半年間、笛を吹かなかったという審判もいるのではないでしょうか。チャレンジ(ビデオチェック要求)が多くなることも予想されますが。

 沖山(功)審判長が精鋭の審判員を選んでくれます。皆さんが待ち望んだ大会再開ですから、試合間隔が空いていても頑張ってほしいと思います。審判はフェイスシールドを着用してもらう予定です。

高校生に目標を与えたい一心で開催へ

――密の状態となる開会式、閉会式は?

樋口 予定通りやりますが、フロアに全選手が並ぶ形式にはならないと思います。簡素化して時間を短くします。

 無観客ですので、観客席は選手の控えスペースとして間隔を大きくとってもらいます。ウォーミングアップ場は時間を決めて使用してもらい、密にならないよう最大限の注意を払います。いつもは地元の女子高校生が補助役員につきますが、今年はありません。1年生とか試合に出ない部員がやります。2週間前からの検温、入場前の検温、消毒と感染防止は徹底してやってもらいます。

選手の練習を見つめる原喜彦・高体連専門部副理事長。大会開催の立役者だ=新潟・県央工高レスリング場

――高校最後の大会だから、として応援を希望する保護者もいたのではないですか?

 甲子園球場での高校野球の代替大会が、3年生の保護者だけ入場できたこともあり、そういう意見も出ました。しかし、切りがなくなりますし、(警備の)人も足りない。4面マット、全試合の動画配信を予定しているので、応援はそれでお願いしたい。

――報道からの取材申請もかなり多いみたいですね。

樋口 レスリング最初の再開大会だからでしょうか、在京のテレビ局や地方新聞からも来ています。来年以降のインターハイや国体の開催地からの視察申請も少なくありません。

 密になるからと言って取材規制はできないですね。

――大会へ向けて、今も大変でしょうが、大変な思いでここまで来ましたね。

樋口 終わってからも大変ですよ(笑)。大会後の2週間は眠れないと思います。感染者が出やしないかと心配で。

――しかし、この大会を開催することで、高校生に大きな目標を与えられたと思います。

 その思いでやってきました。レスリングの競技人口は全国的に減少しています。目標がなければ、さらに下がってしまいます。日本協会のスポーツ医科学員会と再度話し合い、感染防止には全力を尽くします。







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