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2020.10.12

【2020年全国高校選抜大会・特集】学校は出入り禁止で、遠征なし、それでも地力を発揮して4連覇達成…日体大柏(千葉)

(文=布施鋼治、撮影=保高幸子)

選手も監督もコーチもマスク着用で臨んだ大会。いつもと違う状況下での大会だったが、実力を発揮した日体大柏(左が大澤友博監督)

 「よくここまでやってくれたと思います」
 
 全国高校選抜大会の学校対抗戦、決勝で埼玉栄(埼玉)を5-2で破り、4年連続4度目の優勝を決めた日体大柏(千葉)の大澤友博監督は、ホッとした面持ちとともに選手たちの頑張りを労った。

 「下馬評では九州のチームとか関東の強豪校が注目されていた。今年は、もしかしたら決勝にすら行けないんじゃないかと予想していたんですよ。けがをした選手もいて、思うような練習もできなかったので」

 闘いのクライマックスは4-3という激戦になった花咲徳栄(埼玉)との準決勝だろう。大澤監督は鳥栖工(佐賀)との一戦を予想していたが、3回戦で花咲徳栄が鳥栖工を撃破。予期せぬ闘いになったと振り返る。

 「もうひとつ負けていたら決勝まで行けなかった。よく勝ったと思います」

軽量級の高木晟至と田南部魁星が貴重な働き

 中でも55㎏級で田南部魁星が塚田京とのクロスゲームを7-3で制したことが大きかったと言う。「塚田選手は強豪なので、田南部が勝ったということはものすごく大きかった」

決勝で先陣を切った51kg級の高木晟至

 その一方で、勝っても負けても点数差がついたことは課題として残ったと振り返る。「もっと接戦になって、面白い試合をやってもらわないと(レスリングの)魅力が出ない。とりわけ71㎏級の佐々木徳丸はキャプテンを務めた重圧からか、動きが硬かったですね」

 埼玉栄との決勝では、準決勝で星を落した51㎏級の高木晟至が杉本陸斗相手に第1ピリオドの劣勢をはね返し、第2ピリオドで逆転勝利をおさめた一戦が大きかった。

 「この階級を取った時点で9割方優勝できると確信しました。125㎏級のトワードルジ・ブフチョローンは、高校生では絶対勝てない。だったら、あと2つ、他の階級で取ってくれたら、団体戦を制することができるわけですからね」

どのチームも同じ条件だが、練習不足で不安だらけだった

 とはいえ、コロナ禍の中、常勝軍団の柏といえども、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。大澤監督は「今大会のために、今年2月の関東選抜以来、久々にマイクロバスに乗った」としみじみと語る。

状況が状況だけに、控え目だったがチームの優勝を決めて喜ぶ71kg級の佐々木徳丸主将

 「当然、遠征もゼロ。私は指導者になって40数年になるけど、こんなことは初めての経験でした。どこの学校でもそうだったと思うけど、学校の方は出入り禁止になり、寮生は親元に返さないといけなかった。途中で『こんなに休んでいいのか?』と首を傾げてしまいましたよ」

 練習再開は6月半ばまで待たなければいけなかった。練習らしい練習ができるようになったのは8月になってからのことだったという。

 「それでも、なかなか思うような練習ができていなかった。2年生は数人しかいないので、3年生の練習相手がいなかったことが心配でした。以前だったら土日はどこかに遠征していたけど、今回はそれもできなかった。正直、『今回はどうなるのかな?』という心配がたくさんありましたね」

 感染防止のため、胴上げもなければ、優勝を喜ぶ絶叫も遠慮勝ち。応援団を含めた大歓声もなかった。それでも、大会に至るまでに多くの制約があった中での優勝だっただけに、数ある優勝の中でも大澤監督の脳裏に深く刻まれるV4だったのではないか。







2023年世界選手権/激戦の跡
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