【2020年全日本選手権・特集】健闘選手の声（女子）

（2020年12月17～20日、東京・駒沢体育館 ／ 取材＝布施鋼治、渋谷淳、林大貴）

　■女子53㎏級・奥野春菜（至学館大＝初戦で新進気鋭の藤波朱理にフォール負け）「自分の勝つパターンは先制点を取ること。前にプレッシャーをかけて相手が下がりたくなるようなレスリングを目指している。そういったことが徹底できなかった。試合に向けてしっかり気持ちを作り切れなかった。東京オリンピックに出られる可能性が０に近い状況の中で、自分だけまだ前に進めていない感じがします。

　今は本当に練習もしたくないし、優勝した人の顔を見るのも嫌です。でも、自分がするべきことは、現実を受け入れて続けていくこと。練習を続けて、苦しいことを全部乗り越えて消化していかないと、一生、前に進めないと思う。とにかく誰よりも練習して、もう一回自分らしいレスリングができるようになりたい」

　■女子62㎏級・石井亜海（東京・安部学院高＝昨年優勝。準決勝で同じ高校生の尾﨑野乃香に黒星、3位決定戦でも敗れる）「情けない、の一言しかない。準決勝の相手（尾﨑）は同い年で、ずっとライバル視してきた選手でした。高校最後の試合で絶対に勝つつもりで練習してきた。それは、ただの『つもり』でしかなかった。やるべきことができていなかった。

　（3位決定戦の敗因は）負けてから、敗者復活戦をはさんでも自分の気持ちを切り替えることができなかった。最終目標はパリ・オリンピック出場だけど、今の自分は『オリンピックに出場する』と言えるような選手じゃない。具体的な目標を立てて、大学ではその目標に向けて頑張っていきたい」

　■女子65kg級・類家直美（至学館大＝昨年の68g級チャンピオンに決勝の終了間際に逆転負けし、3連覇ならず）「第1ピリオドはよかったのですが、第2ピリオド、守りに入ってしまいました。最後は片足を取られてしまい、相手の押しが強くて耐えられませんでした。その時に左足をけがしたみたいです。自分が弱かったから負けたのだと思います。

　（2月のアジア選手権で優勝しているが）タックルで取れるときはいいのですが、入れないときが何もできない。そういうときでもフェイントや崩しでいい体勢をつくらないと、これからは勝てなくなると思う。国内で負けていては海外に行けないので、まず国内で勝てるようにもっと練習したい」