日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2020.12.30

【2020年全日本選手権・特集】順当勝ちも、成長させてくれた先輩から厳しい叱咤激励!… 男子グレコローマン60kg級・文田健一郎(ミキハウス)

(文=東京スポーツ新聞社・中村亜希子 / 撮影=矢吹建夫)

優勝を決め、テレビ・インタビューに答える文田健一郎(ミキハウス)

 今年の全日本選手権のファイナルマッチ、すなわちメーンイベントは、男子グレコローマン60kg級の決勝戦。すでに内定している8人の東京オリンピック代表のうち、唯一出場した世界王者・文田健一郎(ミキハウス)が手堅い攻めで日体大の後輩・鈴木絢大を2―1で下し、2年ぶり3度目の優勝。天皇杯を授与された。

 世界王者が国内大会に臨めば、「勝って当たりまえ」のプレッシャーがかかる。出場義務はなく、過酷な減量をこなさなければならない。試合に出るか出ないか、簡単ではない選択で、あえて注目される表舞台に立った理由について、文田は次のように語った。

 「新型コロナウィルスの影響で、試合、練習ができなくなり、考える時間が増えた。今まで、ただがむしゃらにやってきたけど、試合ができることが当たりまえじゃないんだな、と感じた。あらためて気がついたのは、ただレスリングが好きだということ。減量もあるが、試合をしたい思いが強かった」。

コロナ禍ブランクによって、新たな技に挑戦を決意

 思い描いていた年と全く異なってしまった2020年。オリンピックの金メダル候補にとって、1年延期は辛い現実だ。しかし、意図せず立ち止まる機会が巡ってきたことで、技術面で新たな試みに挑戦しようと思えるようになった。

巻き投げにも挑んだ文田(赤)

 「今までは四つになり、そり投げで仕留めるとことにこだわってきた。練習が全くできない機会があったことで、こだわりがいい意味でフラットになった。別の攻めを作るのは今がいいのではないか、と。吸収しやすい時期だった」。

 課題だった技のバリエーションを増やすことに取り組むには最適な時間になった。その姿勢が特に見えたのが決勝だ。代名詞のそり投げ一辺倒ではなく、巻き投げなど新たな技にこだわって仕掛けた。「勝ちに徹した固いレスリングだったけど、少しずつやりたいことができていたので、楽しかった。攻めの糸口が見えた」と多くの収穫を手にした。

「今のままでオリンピック金メダルが取れるほど甘くない」…太田忍

 ただし、オリンピック決勝の厳しさを知る先輩は、猛ゲキを飛ばした。アジア連盟制定の「ベスト・レスラー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、日本協会から表彰を受けるため来場した2016年リオデジャネイロ・オリンピック銀メダリストの太田忍だ。総合格闘技転向を決め、大みそかの「RIZIN.26」(さいたまスーパーアリーナ)出場を控える。

必殺のそり投げは“不完全燃焼”だったが、この経験をどう生かすか?

 世界の頂点を競ったライバルの動きを久々に見た太田は「健一郎も分かっていると思うけど、調整している段階だとはいえ、テクニカルポイントがないなんて…。負ける可能性だってあった。今のままでオリンピック金メダルが取れるほど甘くない。もっとやらないと。今より5段階上げてほしい」と叱咤激励した。

 別の道に分かれた今も、文田にとって太田は「忍先輩に『お前とやれてよかったよ』と言わせるぐらいの内容で日本のレスリングを引っ張りたい」と目標にあげる存在。自分を成長させてくれた先輩からの厳しい指摘を必ず糧にするはずだ。

 男気あふれる太田も「迷っていることがあるなら、必要だったら、オレはいつでも練習相手になる」とアシストを誓った。競技は違うが、今も互いに世界一を目指す最高のライバルと切磋琢磨し、東京オリンピックVを目指す。







JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に