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2021.02.27

【特集】リオデジャネイロ銅メダリストを破った実績でアジア選手権に挑む!…女子55kg級・櫻井つぐみ(育英大)

 

(文・撮影=保高幸子)

櫻井つぐみ(育英大)

 群馬大のレスリング部がその歴史にピリオドを打ち、コーチを務めていた柳川美麿氏が勤務している育英短期大に4年制大学が増設されるのに合わせて大学側に掛け合い、誕生したのが育英大レスリング部。2018年のこと。

 昨夏には広々としたレスリング場も完成。そして生まれた同大学初の全日本チャンピオンが女子55kg級の櫻井つぐみ(高知・高知南高卒)だ。4月のアジア選手権(カザフスタン)でシニアの日本代表デビューを果たす。

 3歳から高知南高校のレスリング部を指導する父親のもとでレスリングに取り組み、15年のキャリア。地力はあった。大学で過ごしたこの1年でさらに自分が強くなったという実感もある。「粘りというか、少しは強くなったのかな、って思います。点を取り切る力が高校のときよりはついたと思います」。

 チームには全日本選手権53kg級3位の下野佑実や、東日本学生女子選手権59kg級でU23世界チャンピオンの田南部夢叶(日体大)を破った元木咲良ら競り合う仲間がいることが大きいと言う。

2019年、高校生で全日本選手権2位に入賞!

 2019年全日本選手権では高校生ながらが2位に入賞。その実績とともに育英大に入学したが、今は基本的な構えからやり直しているという。「全然できていないところが多くて…。そこを直したらもっと勝てるし、強い選手とも闘うことができると思った。すごく基本的なことが全然できてなかった」。

3試合で2テクニカルフォール勝ち、無失点で全日本チャンピオンに輝いた櫻井=2020年12月

 柳川監督がコーチをしていた群馬大にも、中学生の頃から年に1回は合宿に訪れていた。大学への進学を決めた頃からは、さらに頻繁に来ていた。「その出げいこの頃から同じことをよく言われていたんです。構えでひざが伸びることがあって、よく『ひざを曲げるように』と言われました。できているつもりだったんですけど、全然できてない」

 取材のあった日も、朝練は構えや基礎をしっかりやり直した。高校時代に構えの注意をされたときは、「いつもじゃないだろう」と思っていたが、自分の映像を見れば一目瞭然だった。「タックルに入られるときは、構えが悪いときでした。6分間集中してずっと同じ構えというのができない」と悔しそうだが、構えを直すだけで負けにくくなるとも言えるだろう。

全日本選手権優勝はスタートライン、「もっと上を目指す」

 「満足せず、もっと上を目指していかないといけないと思います」。全日本チャンピオンになったのは最初の一歩。今自分に足りないものは何かと尋ねると、「攻撃力」と答えた。「練習では入れるのに、試合ではタックルを怖がってしまって入れない」と、リスクを恐れてしまう。「試合でもタックルが使えるようになりたい」-。

創部3年で全日本チャンピオンを輩出した育英大のレスリング場

 これまでは、組み手で相手を崩して、落としたりがぶったりすることがほとんど。それで勝てていた。今後勝ち続けるには、タックルが必要と自覚しているが、「まだ試合で使える自信がない。絶対に取れると思ったら入れるんですけど、まだそうは思えなくて」と声が小さくなる。

 タックルを切られて相手のポイントにつながることが怖い。一番必要なのは自分の技になったという自信。「失敗してもいいからタックルに入る本数を増やし、入る前の組み手を確実にできるように練習している」。タックルの練習をしたら得意の腕取りがさらに使いやすくなった感覚もつかんでいる。「2つ3つと技が増えたら、相手も対応しづらくなりミスもしやすくなる」-。

 昨年1月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)では2016年リオデジャネイロ・オリンピック3位のベテラン、ソフィア・マットソン(スウェーデン)に勝った。その試合では腕取りから落とし、相手が力ずくで来たところを抜いて片足タックルに入った。海外の選手が相手であると、入りやすいと言う。

 「自分のことを知られていないから。やりやすかった」と話す一方、どんな相手でも自分のレスリングができるようになることが課題だ。

「真面目で熱心に練習に取り組む」…柳川美磨監督

 アジア選手権の具体的な目標を尋ねると、「優勝したいとは思います。でも、今のままではまだ勝てないと思っています。日本人はタックルに入って勝ってきた。もっとタックルに入ることもだし、グラウンドもまだ全然できないと思う」と謙虚だ。「(2019年に)アジア・ジュニア選手権に出たときはモンゴルの選手に負けている。中国はどんどん強い選手が出てくる」と気を引き締める。

日本一に輝き、次の目標はアジア・チャンピオンの櫻井

 53kg級でオリンピック出場が決定している選手が階級を上げて出場してくる可能性もあるが、特に狙いを定めた選手はいない。「海外の大会に行けることがあまりなかったので、海外の選手と試合ができることが、それだけでうれしい」と、とにかく試合をしてみたい気持ち。

 アジアでは、まだ櫻井のことは知られていない。伸び伸びとレスリングができる状況ということは楽しみ。全日本選手権でも、伸び伸びとできた予選ではタックルに入ることができた。

 柳川監督は「とにかく真面目で熱心に練習に取り組む」と櫻井を評する。少しずつ、自分のレスリングを改良して自信をつけていく。その過程としても大切なシニア初のメジャー国際大会。静かに闘志を燃やしている。







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